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クラスメイトと義妹


「月屋敷 瑛子ー!」


クラスに響き渡る声に、瑛子はぴゃっと悲鳴をあげて驚いた。見ればクラスメイトの咲 理香子が腕組みをして仁王立ちしている。


「ど、どうしたの、理香子ちゃん」


理香子は巻き上げた栗色の髪をいじりながら、先ほどの威勢はどこへやらもじもじと「おはようございます……」とだけ言うと、自分の席へついてしまった。


「理香子は相変わらずだね、えいちゃん」


ショートヘアの似合う友人、戸田 夏 はけらけら笑う。瑛子は首を傾げた。


「理香子、えいちゃんと同じクラスになれたのが嬉しいのよ」


夏は片目を瞑る。


「そ、そんなんじゃないわよ!」


聞こえていたのだろう、理香子は顔を真っ赤にし夏を睨みつけた。


「私は、嬉しいよ? 理香子ちゃん」


「なっ……ま、まあ同じクラスになってしまったんだもの、仲良くしてやらないことはないわよ、月屋敷 瑛子」


「なんでフルネームなの」


夏は呆れたようにつぶやいた。





帰りのホームルームが終わり、帰ろうとする瑛子に夏が声をかける。


「アイス食べに行こうよー」


「えっと……」


「春になったとはいえ、まだ夜は冷えますわ。 あなた、おねぇさまがお腹を壊したらどうしてくれますの?」


「あ、桜花ちゃん。 はろー」


瑛子が答える間もなく、現れたのは学年がひとつ下の桜花だ。桜花は不機嫌そうに、夏を睨んでいる。


「ふん」


「桜花さん、ダメだよ。 夏ちゃんに挨拶は?」


「ハロー、ですわ。 それよりおねぇさま、今日は早く帰りまして、クッキーを焼きましょう」


「えー! えいちゃんはあたしとアイス食べに行くんだよ? あ、桜花ちゃんも行く?


「行きません、おねぇさまは私と二人きりで帰るんです、他はいらないわ」


「にゃはは、相変わらずえいちゃんラブだね桜花ちゃんはー」


ニコニコと夏は笑って、低く、桜花にだけ聞こえる声で囁いた。


「えいちゃんは桜花ちゃんだけのじゃないよ?」


「私だけのものよ、殺すぞてめぇ」


桜花も凄み、囁き返した。きょとんとしている瑛子の前に、再び理香子が仁王立ちし「さようなら! 月屋敷 瑛子」と大声をだすと、ぎこちなく手を振る。


「またね、理香子ちゃん」


「ええ、またあした!」


なんだか面白くて、瑛子は笑ってしまう。今だ睨み合う二人にため息を吐いた。



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