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月の王国  作者: 有終文
第一部 翡翠
9/19

第1.5話 ミオの来てからの生活

グレイス視点です。

伏線らしきもののために色々曖昧な描き方になってしまって申し訳ないです…。

ジェイド様は今は学士のようなものに身を窶してはいますが、本来はやんごとなき身分の御方で、本来は従者が僕一人と言うことはあり得ないことだと思います。

けれど、ジェイド様は僕だけを選んでくれました。そのことを誇りに、僕はジェイド様の身の回りの世話をしているといっても過言ではありません。



そんな環境の中でミオを拾って、もう半年もたちました。

初めは見知らぬ異国の出で立ちをしており、全身痣だらけで意識不明の状態だった彼女を見つけられたのはジェイド様でした。

意識が戻らぬうちから何かを呟いておりましたが、聞いたことのない言葉で、何を言っているのか全く分かりませんでした。

意識が戻ってからも何を言っているのか分からず、どうしようかと焦った僕に対し、ジェイド様は「ゆっくりと分かっていけばいい」と呟いて身振りと手振りでコミュニケーションをとりました。もちろん、僕もそれに倣いました。

最初は、ミオというのが名前なのか良く分からなかったのが正直な感想だったのですけれども、ミオと呼ぶと反応したので恐らく名前なのだろうという結論で、彼女をミオと呼び続けました。

彼女は最初、何をしても、何かに怯えている子供でした。

人に恐怖を覚えた獣と接するような気分で、接していきました。次第に言葉は伝わらなくても彼女の心が分かっていき、彼女が初めて笑ったときにはジェイド様と二人でお祝いまでしました。

新しい家族に、ジェイド様の心も開いていくのが、とても嬉しくなりました。

僕は、恐らくもう二度と会えないであろう妹と重ねて、ミオを可愛がりました。


ジェイド様が心を閉ざしてしまったのは、ここ数年のことでした。

笑うこともせず、かといって怒ることもしない。

全ての感情を、過去と共に封じ込めてしまうような、その姿に、僕をはじめ多くのものは胸を痛めました。

全てを鬱ぎ込むようにできていたジェイド様の心の壁を、言葉通じぬ娘が壊していくことが何よりも喜ばしいことに思いました。



クリス様があらっしゃって、言葉が通じるようになったミオは、以前より笑うことが多くなりました。


また、この間の一件より、街で何かあると、この屋敷に連れ込まれたり、どうしたらいいと問い合わせが来るようになりました。

そして、ミオの提案で『クリニック』なるものを作ることになり、ミオはその準備で街のそこらを走り回ってるのです。

「グレイス!ケビン様のところに行くのだけれど、一緒にいってくれないかしら?色々頼んでいたものができたみたいなのよ」

ケビン様と言えば、この国きっての変わり者…ではなく、研究者。

ミオが指輪をつけて倒れて…数日後、目を覚ました後に、あれほどまでに嫌がっていたクリス様に何かしら相談し、ケビン様を紹介して貰っていました。ケビン様の所に行くと、ミオは何かを頼み、3日ほどそちらの屋敷に世話になっていました。ケビン様の方も何か興奮されている様子で、何かに取り組み始めていて……。それが頼んでいたものなのでしょうか。

「いいよ。何か準備はいる?」

「籠とか……結構こまごまとしたものもいっぱい頼んだから」

一体何を…と、僕は聞くこともできず、籠を携えて、ケビン様の屋敷へと向かった。

「やあ、愛しのミオ」

「ケビン様、お久しぶりです」

屋敷につくなり、二人は抱き合うばかりの挨拶を交わしているのに驚きました。

そもそも、ケビン様は社交界にもでられないような……どちらかというと、人と付き合っていくよりも内に籠もっているタイプだと思っていたからです。

「今日も面白い話をしてくれるかね?」

「んー、今日は少し難しいです。グレイスも一緒ですし」

「そうか……また、今度、あれの続きを教えてくれ。頼まれたものは、ここに」

「ケビン様、ありがとうございます!」

そういって差し出されたのは、驚くほどに大きな山でした。これは、女で一つでは運べないから連れてこられたのだと確信しました。

それを持つのを手伝うように言われ、だいたい3:1の割合で僕が多くに持つようにしました。腕は細いですが、女子供よりは力はありますから。見た目よりは軽かったとはいえ、結構な重さでした。


「ありがとう」

「これは、なに?」

「私たちの世界の薬をね、作ってもらってたの。機械も作って、確認試験までしてもらったから大丈夫」

「薬ですか?!この、粉が?」

持ってきたものの中には白い粉に黄色の粉に、様々な粉がある。

「胃薬とか、風邪薬とか、睡眠薬とか、いろいろあるの。本当はいろいろ、工夫したかったんだけどそこまで知識が無くて」

「いえ……この、粉が……」

この世界にも薬というのは存在する。けれど、これは、自分の知識とかけ離れたものだ。

「大丈夫、とってくったりはしないから。じゃあ、クリニック開業に向けてがんばりましょ?あ、ジェイド!」

ジェイド様を見かけてかけていくミオを見て、僕は薬をミオの部屋に持っていった。

ミオが来てからの日々は、楽しいことばかりだ。


お気に入り登録ありがとうございます。

……次から話がようやく進むのかも知れないです……お待たせしました。

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