第1話 はじまりの生活 7
グレイスの方から事情を説明し、その子供はしばらくこの屋敷で預かることになった。
その子の名前はフィネというらしい。
少し赤茶けた髪とソバカスがチャームポイントの可愛い女の子だ。
その子は、名前を告げると、疲れたのかすやすやと眠りについた。
『あ、そうだ』
クリスが私の方に向かって何かを投げる。
私は急いでそれを受け取って、何かを確認した。白い宝石がついた指輪だった。
『それに、魔法をこめておいた。人体にかけると何回もかけ直さないといけないから』
『上等な翡翠の指輪、準備させておいてよくいうよ』
翡翠というと碧……そう、ジェイドの瞳のような色を想像していたのだけれど。
指輪はどちらかというと、とうかどちらかという判断も虚しいくらいに白い宝石。
『本当に純度が高い翡翠は、白いんだよ……使いたくないコネまで使って取り寄せた』
『まあ、使えるものは使わないと。おかげで、身につけてれば、言葉に困ることはないし、お守りになるよ』
指につけても、ネックレスにしても、どちらにしても効果があるらしい。
言葉が困らなくなるのは嬉しいので、それはとても嬉しいのだけれど。
クリスから貰ったというのが、気になる。……いや、して貰っておいて、こんな風に思うのは恩知らずだとは思うのだけれど。
クリスにはあんまり、心から信頼とかできない何かがある、…この指輪に他に何か仕込んでいるとか…。
『大丈夫、ミオ。クリスは人としては傲慢で我が儘で修正不可能なくらいの腹黒かもしれないけど、腕だけは信頼できるから』
『その言いぐさも気に入らないなぁ、ジェイド。使わないなら使わないでもったいないから、返して』
『誰が返すって言ったのよ。使わせて頂きます、ありがたく!』
私は悩んで手も仕方がないので指輪を着けた。
………頭がクラクラする。
『あれ、魔力が強すぎたかな…?』
『馬鹿!ミオ……?』
倒れかけた私をジェイドが支えてくれたのを見て、私は夢に落ちる。
『やられた』と正直おもったけれど、それは仕方がない。
その指輪が私に馴染むまで、3日間、私は寝続けた。
次からは少し番外編という名の小咄が挟まって、クリニック開業予定です…。
ちなみに、宝石は純度が高い=無色です。あれは微量の金属の混入で色が付いてるので。
翡翠は結晶が小さいため白濁して見えるようですが。あと、孔が多いようなので白いものは染色されて売られるようです。
恋愛要素が無くてごめんなさい…フラグがたつならこの章のあの人なんですが…思ったより、たらしにならなかった模様です。。。この章の最後らへんで、怒られる覚悟でフラグ立てたんですが…あんまり、絡みがない…
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