第3話 もうひとりの神子 2
裕樹。
フルネームは宮柱裕樹。
家が向かいで、幼稚園に入る前からずっと一緒に遊んでた。
私が家を出て大学に通う時も、過保護なのか私の部屋からスープの冷めない距離に部屋を借りて住んでいた。
過保護っぷりは、大学に入ってからできた親友の美香と裕樹が付き合ってからも続いた。
裕樹は何でもできた。
勉強も私に教えてくれた。
部活での剣道もすごくて、高校のときは全国大会に出場していた。大学から始めたサッカーでも花形だった。
友達づきあいもうまくていつも人の真ん中にいた。
仕事を探して困ってる時もバイト先も紹介してくれた。
なんにもなくて、勉強ばっかりに逃げていた私とは正反対の幼馴染。
背が高くて、かっこよくて、ウィットに富んでいる、自慢の幼馴染。
あの世界に未練があるとすれば、彼と親友の美香だけだ。
美香はあんなに追い詰められていたけれど、誤解は解けたんだろうか。そんなことばっかり考える。
そんなことばっかり考えてたせいか、その日、夜に見たのはあの世界の夢。
私がいて、親友の美香がいて、裕樹がいて。
三人でいつもみたいに遊んでいる、なんでもない幸せな日々。
今は、もう届かない、悲しい夢だった。
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『ミオ様? ミオ様、朝でございます』
気づけばフィネが私を起こしに来た。
鐘の音が響く。いつもはこの鐘の音は朝食を食べた後に聞いているのに、寝坊したみたいだった。
『ミオ様、つらい夢でも見られましたか?涙の跡が…』
言われてほほを触ると涙の筋が感じられた。だいぶ泣いていたようで少し皮膚がかぴかぴする。
『夢のことなんて覚えてないからわからないわ。フィネ、ごめんね、朝ごはんの準備…』
『食事の準備は私とグレイス様の仕事だから心配しないでください。もう昼に近いので、スープだけにしましたが、召し上がってくださいね』
『今日も、ジェイドとケビン様の屋敷に詰めるから、昼ごはんはいらないわ。夕食だけ、お願い』
今日も課題は山積。
本当はこんな小娘ひとりじゃ、解決できない。偉人が積み重ねたうえで医療をしてきたことを実感する。
レントゲンができたら次はエックス線の見方を確認して、そして今は胸に直接耳をあてて聴いてる心音や肺の音を聴診器で聞けるようにしたい。
やりたいことは本当にいっぱい。だけど、それを実現するだけの技術は私にはなくて、人に頼らないといけない。
今の開発にかかるお金だって、ジェイドとケビン様にすべて出してもらってる状態だし、いつかは返さないといけないと思ってる。
知らず知らずのうちにため息がこぼれる。
『裕樹がいればなぁ…』
『ユウキ…?ミオ様のご友人ですか?』
『幼馴染。すごく頭が良くて、何でも持ってて、優しい、自慢の幼馴染よ』
『ミオ様がおっしゃるなら、一度、お会いしてみたいです』
『惚れてはだめよ?私の親友の恋人なんだから』
『え、男の方なんですか?』
『うん、すっごくかっこいい…と思ってるわ』
フィネが聞いてくるからいろいろなことを話した。
高校の時の修学旅行のこと、中学のころの部活のこと、大学の生活のこと。
どのころを思い出しても、裕樹が出てくる。
それほどずっとそばにいたのに、ここに来てから数か月、今まで思い出さなかったなんて、なんて薄情ものなんだろう。
そう思ってへこみはじめると、買い物に行っていただろうグレイスが駆け込んできた。
『ミオ!教会の前で、喧嘩が起こって怪我人が!』
『本当に?フィネ、ごめんね、ちょっと行ってくる!!』
鞄を持って、グレイスの後ろに従って行く。
教会は医療の中心だが、基本的に信者や町の住民しかみない。
だから宗教などのわからない旅人などは喧嘩などに巻き込まれても基本的に放置されることが多い。
今回もその類だろうと思い、行き着いた先で心の底から驚いた。
「ゆう、き……?」
「…美緒?」
見間違うはずがなかった。
私の幼馴染だった。
わかりやすい展開で、すみませ…;
次はジェイドをいじめたいとおもってます(笑)
もう一つ話を書きたいなと思いながら、キャラ立ちとネタをもっと詰めないとこの話の二の舞になると思ってるので頑張ってつめたいと思ってます;;