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第9話 整理がややこしい!

 このクラスの美男美女が、俺を囲んで訳の分からないことになっている……。


 そんなカオス過ぎる状況を、俺が上手く扱うことなんて出来るはずもなくどうしたらいいのか分からなくなってしまう。


「ねぇ日比谷くん、ゲーム!」

「だからぁ! わたしを無視しないでよ!」


 しかし、この状況は俺を逃してはくれない。

 尚もマイペースにゲームを教えろと迫ってくる大滝さんに、無視をされて怒る木島さんの姿。


「よ、よよよ、良くないですよねぇ!?」

「だから、なんで俺?」


 そして隣では、あたふたとなりながらも謎の訴えをかけている優に、当然意味が分からず困惑する翔太の姿。


 そんな美男美女の急な集いを前に、教室の内外から注目を浴びてしまっている。

 それもそのはず、もし俺も客観的な立場だったら同じリアクションをしていただろう……。


 だからこそ、この場を早く何とかした方がこの場にいる全員のためだろう。

 そう考えた俺は、もう感じたままに行動へ移す。


「大滝さん! ゲームはあとで送るから、いいよね!?」

「え? ああ、まぁ教えてくれるなら構わないが」

「じゃあ、昼休み中に必ず送るからちょっと待ってね!!」

「そう? 分かった」


 俺の言葉に素直に従ってくれた大滝さん。

 自分のスマホを引っ込めると、ようやく俺達のカオスな状況に気が付いたのか、そのまま自席へと戻っていく。


 というわけで、一番客観的だった大滝さんはこれでクリア。

 となれば、次に向き合うべきは大滝さんに文句を言っていた木島さんだ。


 木島さんが何故ここにいるのかと言えば、俺と大滝さんが連絡先を交換したからだろう。

 であれば、もう答えは一つだ。


「次っ! 木島さん!!」

「えっ!?」

「これ、俺の連絡先だから登録して!!」

「は、はいっ!!」


 俺の言葉に慌てて従うように、俺の表示したQRコードを読み取る木島さん。

 こうして勢い任せではあるが連絡先を交換した木島さんは、どこか満足そうな表情を浮かべる。


 それもそのはず、俺を踏み台にして最終的には翔太へ近付くことが目的なのだ。

 これも木島さんにしてみれば、明確な進展と言えるだろう。

 であれば、俺の連絡先の一つや二つくれてやろうじゃないか。


「じゃあ、もういいよね!?」

「ていうか、べ、別にわたしは最初から何もないからねっ!?」


 俺の確認に対して、木島さんは恥ずかしそうに頬を赤らめながら、教室から走って出て行ってしまう。

 そのリアクションこそ謎過ぎるが、こうして二人目もクリア。

 残すは、何故か翔太に謎の訴えかけをしている優のみ。


「おい優! 翔太困ってるから!」

「ふぇ!? あ、あああ! ごめんなさいっ!」


 俺の言葉に、明らかにビクッと驚く優。

 そしてそのまま、逃げるようにいつもの友達の輪へと戻っていくのであった。


 こうして、さっきまでのカオス状態が嘘のように、再び平穏が訪れるのであった。


「……な、なんだったんだ?」

「すまん、俺にもよく分からん……」


 呆気に取られている翔太に、俺も頭を抱える。

 そう、結局誰一人、さっきの謎のカオスを説明できる人はいないのであった――。



 ◇



 今日も全ての授業が終了した。

 今日は一段と色々あった気がするが、無事一日が終わったことにほっとしている自分がいた。


「そんじゃ、今日もお疲れ」

「おう、また明日な」


 帰り際、俺は翔太と帰りの挨拶を交わす。

 翔太だけは、疲れている俺のことを気使ってくれる。

 そんな翔太こそ、このクラスにおけるオアシスのような存在かもしれないな……。


 そんなバカなことを考えながらも、俺は下校するため教室を出る。

 去り際、木島さんが何やらこちらを見てきていたような気がしなくもないが、きっと気のせいだということにしておく……。


 そして帰りは何事もなく、そのまま家まで着いた。

 夕飯を食べた俺は、そのままお風呂を済ませて自室へ行く。


 ピコン――。


 それから今日出た課題をこなしていると、スマホの通知音が鳴る。


「ん? なんだ?」


 悲しいかな、滅多に連絡がくることのない俺のスマホ。

 たまに翔太と連絡を取り合う程度で、他は特に必要がない限り鳴ることはないのだが、気になった俺はスマホをすぐに確認する。


『元気?』


 送られてきたのは、たった二言のメッセージ。

 しかし俺は、そのメッセージを目にして驚きを隠せなかった。


 何故ならその送り主は、あの木島さんだったからである――。


『元気だけど、どうかした?』


 とりあえず俺は、無視するわけにもいかないため恐る恐る返信する。

 しかし、俺はもう気付いているのだ。

 木島さんという子は、結構腹黒い部分のある女性であることに――。


 そんな木島さんからの急なメッセージに身構えつつ、もしかして俺の連絡先の一つや二つは決して安くなかったのでは? という後悔が沸き上がってくる……。


『冷たくない? 連絡したらダメだった?』

『いや、そんなことないです。すみません』

『だから、なんでそんなに他人行儀なのよ』


 そんなこと言われてもと思っていると、続けてメッセージが送られてくる。


『別に大した用事じゃないわよ。今日さ、大滝さんに教えてたアプリ、わたしにも教えてよ』


 そして木島さんは、まさかのお願いをしてくる。

 どうして……という気持ちはあるが、断る理由もない俺は、言われたまま木島さんにもアプリを教えることにした。


『ありがと! また色々教えてね?』


 こうして木島さんも、同じアプリを始めてくれるのであった。


 しかし、その真意は全くもって不明であり、また何か一波乱が起きるような気がしてならないのであった……。

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