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第7話 距離感がややこしい!

「ゲーム好きなの?」


 そのまま隣の席に腰掛けた大滝さんは、そう言って興味深そうに俺のスマホを勝手に覗き込んでくる。

 これまでほとんど会話をしたこともなかったのに、何でいきなりこんな距離感で俺なんかに接触してくるのか謎過ぎて反応に困ってしまう。


「ま、まぁ、そうだけど」

「へぇー! どんなゲームなの?」


 しかし、戸惑う俺のことなんて全く気にすることもなく、グイグイくる大滝さん。


「あ、パズルゲームだ!」

「う、うん」

「へぇー! 面白そうだね!」

「そ、そう?」

「うん! わたしにもやらせてよっ!」


 ワクワクとした表情を浮かべながら、大滝さんは無邪気に覗き込んでくる。

 揺れる髪からは甘い女性らしい花の香りが漂い、俺はゲームよりもそっちが気になってしまう。


 クラスでも一、二を争う美人の急接近、意識しない方が無理な話だ。

 優、木島さん、そして今は大滝さんと、何故このクラスの美女達と急に接点が生まれたのだろうか。

 そんな疑問に答えなんか見つかるはずもなく、俺はやっぱり戸惑うしかないのであった。


「おはよー」

「よーっす」


 そうこうしていると、遅れてクラスメイト達が教室へとやってくる。

 電車のタイミングもあるのだろう、一人二人ではなく数人続けてだった。

 その結果、クラスには俺と大滝さんだけの状況で、しかも何やら仲良さげにスマホを覗き合っている姿をみんなに見られてしまう……。


 その光景は、クラスのみんなを驚かすのに十分だった。

 みんな驚いた表情で、こっちをガン見してきていた。

 しかしそれでも、大滝さんは気にしない。

 気にせず俺からスマホを取り上げると、今度は自分の番だとパズルゲームをプレイする。


「ねぇこれ、どうしたらいいの?」

「え!? あ、ああ、それは右を消してから」

「あーなるほど!!」


 やり取りはさながら、十年来のお友達。

 でも実態は、まともに会話するのはさっきがほぼ初めての関係――。


 クラスのみんなの顔には、「お前達、そんなに仲が良かったっけ!?」と書いてあるようで、物凄く居心地が悪くなる。

 そしてそれは、遅れて教室へやってきた翔太、そして優と木島さんも同じなのであった――。


「あ、そろそろスマホは不味いかな?」


 すると大滝さんも、ようやく周囲からの注目を気にしてくれたのかと思ったが、どうやら気になったのは時間だけのようだ。

 俺にスマホを返すと、「またやらせてね!」と微笑み、何事もなかったかのように自分の席へと戻っていくのであった。


 そんな、元々クールな印象があったのだが、実は物凄く人懐っこい性格をしている大滝さん。

 そんな大滝さんの印象の違いは、俺だけでなく他の人達も驚いている様子だった。


 しかしそれでも、当の本人だけは何も気にせず、楽しそうに後ろの席の子とお喋りしているのであった――。



 ◇



 昼休み。

 俺はいつも通り、翔太と購買へパンを買いに向かう。


「で? 一体お前、どうなっちまったんだ?」


 そして歩きながら翔太は、そう問いかけてくる。


「どうって、なんだよ……」

「なんだ? 全部言った方がいいか?」

「……いや、いい。俺だってよく分かんねーんだよ」

「分かんねーのか?」

「ああ、訳わかんねーことだらけだよ。それもこれも遡れば、まず学校の帰りにいきなり優が――」

「優? 優って、あの秋月優か?」


 少し驚きながら、こっちを向く翔太。


 ――しまった。順を追って話そうと思ったが、優のことは何も知らないんだった!


 完全に口を滑らせてしまった……。

 しかし、一度口にしてしまった言葉はもう飲み込めないし、まぁ翔太ならば関係ぐらい話してもいいだろう。

 そう思い俺は、諦めて事情を包み隠さず説明することにした。


「……マジかよ、幼馴染だったのかよ」

「ああ、でもずっと会話すらしてなかったんだけどな」

「それで、高校に入って久しぶりに会話するようになったと?」

「そういうこと」


 まぁその会話の理由が、まさか優が翔太に気があるなんてことは流石に言えないのだけれど――。

 そんなわけで俺は、他にも木島さんと大滝さんの二人と何故か急接近してしまった話を軽くいじられつつ、今日も今日とて一緒に購買で買ってきたパンを食べるのであった。


 まぁ一応、説明したことで翔太も事情だけは理解してくれたので良かった。

 こんなの一人じゃ抱えきれないからな……。


「ねぇ日比谷くん? よくよく考えたら、さっきのゲームわたしもダウンロードしてみようと思うんだ! なんてゲームだっけ?」


 するとそこへ、またしても大滝さんが話しかけてくる。

 手にはスマホが握られており、どうやらその言葉通り本当にアプリを聞きにきただけのようだ。


「あ、ああ、インフィニティ―ドラゴンアポカリプスっていうんだけど、検索すれば――」

「え? インフィニ? 何?」

「ああ、ごめん。えっとインフィニティードラゴンアポカリプス」

「えぇっと、インフィニットドラゴン……何だっけ?」


 あぁクソ!! 何で無駄にタイトル長いんだよっ!!

 全然伝わらねーじゃねーかっ!!


「あ! じゃあさ、連絡先交換しよーよ? それでリンク送ってよー!」


 すると大滝さんは、名案を思い付いたようにそう言ってスマホの画面を向けてくる。

 そこにはQRコードが表示されており、紛れもなくそれは大滝さんの連絡先だった。


 そしてその会話は、当然のように教室に居合わせた男子達の耳にも届く。

 あの日、大滝さん推しを口にしていた男子達は口をあんぐりと開けて驚いており、今この場は完全に周囲の注目を集めてしまっているのであった。


 だが事態は、これだけでは収まらなかった。

 教室中の注目を集めること。それはつまり、あの二人も含まれているわけで――、



「ちょっと? そこで何してるのかなぁー?」

「そ、そそそ、そうだよっ!! おかしいよっ!!」



 不満そうな表情を浮かべる木島さんと、慌てて駆け寄ってきた優。

 そんな美少女二人も加わり、結果として初めてこのクラスの美少女三人が集結したのであった――。




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