表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/49

VS冒険者



セリは、王都の中央道路を真っ直ぐに進んでいた。



辺りに人の姿は見えない。


本来は人で溢れ帰っているメインストリートであるはずなのだが、騒ぎを聞きつけて逃げたか、避難勧告でも出ているのだろう。




しかし、壁の前で相対した兵士達は呆気なく全滅させてしまった。


辺りに影を這わせるだけで、何の被害を被る事なく殲滅できたのだ。




この通りを真っ直ぐ進めば、中央広場がある。



目指す場所はもう直ぐだ。






『なにやら、また王国兵達がたむろってるみたいですね』



正面の方を見ると道を塞ぐ様に兵士達が陣形を組んでいた。



あの兵士達が道を塞ぐ先が、中央広場だった筈だ。



『どうしますか?』


「全員蹴散らす」



そう言い放った瞬間、セリの姿を視認した途端に数騎の騎馬兵が槍を構えて、突進してくる。




「あの悪魔を殺せ!!」


「裏切り者の魔女の関係者だ。容赦はするな!!」



騎馬兵達は何やら喚いていたが、知ったことではない。




セリにたどり着くずっと前に、影が騎馬兵を飲み込んだ。



随分と影の移動速度も早くなったものだ。


もはや、自分の体以上に自由に動かせるレベルだ。



「ううっ!!!?」


「な、なんだこっ……!?」



影が喰らう速度もかなり上がっており、断末魔を微かに上げる程度の猶予しか与えない程だ。




唖然としている兵士達に影を這わせる。




「てっ、撤退、撤退!」



陰に怯えた兵士達は、その隊長らしき人物が指示すると、崩れ去る様に逃走する。



だが、人の走る速度よりも影の方が数段と速い。



逃げる兵士を背中から何人も捕らえては、闇の中に放り込んでいく。



圧倒だ。


何十、何百という訓練された兵士が、抵抗する術もなく飲み込まれていく。


この加護さえあれば、他の神人も敵では無い――そう思えてしまうほどだ。



「そこまでだ!」



セリの眼前に剣は振り下ろされてくる。



「くっ……!」



セリはそれを、咄嗟に剣で斬撃防いだ。



その斬撃を繰り出した張本人は、黒髪の男だった。



速い。


どこから現れて、どう距離を詰めてきたのか分からない程度の俊敏さだ。



セリは、反射神経は全く良い方ではなかったはずだ。



しかし、アサラトを取り込んだことにより、身体能力が飛躍的に向上していた。




火級ファイアーボール!」



その瞬間、背後から火炎の塊が一直線に飛んでくる。



それと同時に、男はバックステップで距離を空けた。




セリは、咄嗟に影を自分を包み込ませる様に展開させる。



影の内側まで熱気が伝わってくる。


しかし、炎は通さない。どうやら、防御にもしっかり使える様だ。



暫くして、熱気が収まる。


セリは影を消して外の様子を伺う。



そこにいたのは、男女四人の姿だった。



『あの方々は一体?』



セリは彼らに見覚えがあった。



王都を根城に活動する一級冒険者チーム"白銀の刃"の面々だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ