襲撃者-3
セリはリアを連れて、町外れの荒廃したスラムに来ていた。
町を覆う外壁にへばりつく様にあるこの雑多な家屋が、立ち並ぶこのスラムは犯罪の温床になっているそうだ。
かなり規模も広い様で、ここの住民は1万人に近い人数が生活しているそうだ。
セリの鼻を微かな生臭さが刺激する。
まともに舗装されていない道は泥濘んでおり、足元が泥まみれになる。
辺りにいる人間も、壁内の住民に比べると人層が良いとは言えないだろう。
リア曰く、デスタ率いる冒険者パーティ以外にも、同規模の犯罪組織がもう二つあるそうだ。
また、都市の最も外側のここは、冒険者の前線基地としての役割もあるらしい。
セリはリアの会話を聞きながらも、スラムの奥へと進んでいく。
そうすると、セリの眼前にスラムには似つかわしくない屋敷が目に映り込んだ。
屋敷の門の前には、二人のごろつきが立っている。
門番だろうか。
「ここまで、案内してくれてありがとう。後は私がいく」
セリはここまで案内してくれたリアに礼をいい、屋敷に向かおうとする。
「まって」
だが、リアはそれを制止した。
「やっぱり、私も一緒に行く。セリちゃんが強いのは分かるけど……でもさっ!」
リアはどうやら、相当セリのことが不安な様だ。
それはそうだ。
これから相手するのは、特級に分類される最強格の冒険者だ。
人間の領域――それどころか生物の領域から逸脱していると言っても過言ではない存在だ。
「大丈夫。それより、リッタのこと面倒見てあげてて、私は絶対に死なないから」
セリはそう言い残すと、ごろつきの方へと駆け出した。
「ちょ、ちょっと!」
リアがそれを引き止めようと手を伸ばすが、もう遅かった。
「な、なんだっ!?」
ごろつき達がセリの存在を視認した頃には、片方のごろつきの首に剣が貫いていた。
セリの動きはあり得ない程に俊敏だ。
動きの速さだけなら特級、あるいは速度特化の一級冒険者相当だ。
あれならデスタも倒せるのでは、リアがそう思ってしまうくらいに。
「なっ、なっ……!」
あまりなもの出来事に、混乱状態に陥りに固まっていたもう一人の首を斬り下ろす。
セリの黒衣に血液が、勢い良く付着する。
だが、黒の服に赤い染みなど目立ちはしない――やはり、この色は便利だ。
二人の門番を圧倒したセリは、門を蹴り開けて、中に入る。
その姿を見て、リアは追いかける気を無くした。
「もしかして、いや、きっと、あの子なら……」
もう一度あの動きを見て、リアは再び確信した。
セリはデスタと肩を並べる強者であると。
きっと自分程度がついていったところで、何も変わらないのかもしれない。
大人しく帰って、リッタの容態でも見ていた方がずっと役に立てそうだ。




