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ハーフエルフ-2



それから、食事を終えたセリは再び眠りに落ちた。




「う、うっ……」




セリは、目を覚ますと辺りを見渡した。



昨日は馬車の荷台で、沢山の衣服を下敷きに眠りについていた。



「セリさん、おはようございます」



そう声をかけてきたのは、フィリアだった。



「んっ、おはよう……」




セリはフィリアに挨拶し返すと、外の様子を伺う。



太陽はかなり高い位置まで上がっていた。



連日の疲れが重なりその結果、相当な時間を爆睡していたようだ。




『まさか、あのハーフエルフちゃんを仲間にするなんて予想外でした、てっきり殺してしまうのかと』



そう言ってきたのは、毎度のごとくレヴィンだ。



今更だが、頭の中に直接語りかけてくる感覚はまだ慣れない。



「私はそこまで無差別に殺したりしない……いや、してたかもだけど」



それを否定しきれないのが、自分の嫌なところだ。





セリは自分の下敷きにしていた衣服にふと、視線がいく。


男ものから女ものまで、様々な服が山積みに敷き詰められいる。



盗賊達は何処からどう盗んだ、或いは奪ったのだろうか。




自分の服装な、ボロ切れの布を一枚羽織っているだけだ。



それよりはこの中から適当に選んで、着込んだ方がいいだろう。




セリが選んだものは、シンプルなデザインのズボンと服だ。



駆け出しの冒険者が来ていそうな、機能性重視のものだ。


別に今更おしゃれなどする気も起きないので、これで充分だ。




それと、セリの目に映ったのは、黒一色のフード付きの長マントだ。


これを上から羽織れば、身体の傷は他人に見えづらくなる筈だ。



立場的にもあまり目立つのは、避けたい。


しかし隻眼、隻腕で傷まみれの人間などどう考えても目立つ。


せめて上から、隠せるマントでも着ていれば、幾分マシになるだろう。




セリは、着ていたボロ布を脱ぎ捨て、服を脱ぎ変える。




概ねサイズはぴったりだ。



最後に上にマントを羽織る。




足元まであるオーバーサイズ気味の大きさだが、それが上手いこと身体を隠してくれる。


これなら、片腕がない事が他者目線からでは分からないだろう。



それにうまい具合に腰にかけている剣も大分目立たない様になっている。


仮に血がついても黒色には目立ちにくい。



色々と理にかなっているのかもしれない。



「フィリア、これどう?」



セリはフィリアに問いかける。



「え、いや……に、似合ってます、よ? そ、その暗殺者みたいで……わ、悪口とかではありませんから!?」



フィリアは何か勘違いしているようだ。


別に似合っているかを聞いた訳ではないのだが。




確かに言葉たらずだった。


まともに数年間、他人と喋って無かったのでどうも上手くコミュニケーションが取れない。




「違くて、この格好、傷が目立たないか聞きたかったんだけど……」


「す、すみません、そっちですね……身体の怪我は、マントのおかげで全く分からないです。腕も上手く隠れて欠損してるようには見えません――ただ」


「……ただ?」


「お顔の方の傷跡と、目が、そのやっぱり、少し目立ってます」




確かに、顔にも幾つか傷があった。



拷問で首元から顔下あたりに大きな傷跡が、後は潰された片目だ。




辺りを見渡すと、黒い布キレを見つける。



セリは、それを眼帯代わりに潰された目の方へと巻き付ける。



これで、多少は見苦しさも減った筈だ。後は顔下の傷だが、これは隠しようがない。




「これで、少しは良くなったかな?」


「はい、眼帯をつけていた方がいいかもしれないです」



潰された目を周りに晒し続けているのは、もう外見を気にしないつもりでいたが、それでも自分自身でも辛いところがある。



「とにかく、盗賊達の持ってた金目のものと食糧を回収したら、先に進もう。私ものんびりしてる時間はないしね」


「わかりました。荷台にある良さげなもの探します」




セリとフィリアは日持ちが良さそうな干し肉と、幾つかの金品を持ち、先へと急いだ。



ロ・ランブルもそう遠い場所にはない筈だ。


まずはそこへと向かおう。

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