第9話
場所を移動して近くの酒場に入った。
席につくとすぐに、ソフィアは
「さてと、じゃああんたの仲間になったわけだし、スキルを教えてもらっていい?」
「えっと、ぼくのスキルは『反転』っていうんだ。ひっくり返す能力だよ。」
ソフィアは首をかしげて難しい顔をしている
「ひっくり返す能力?えーっと、何ができるの?」
「人間くらいの相手を転ばせたり、物質の方向を逆にすることができるよ。」
「つまり?いい能力なの悪い能力なの?」
「んー。ランク0のスキルでよくバカにされたから悪いスキルなのかなぁー?」
「悪いスキルなのかなぁーじゃないわよ!えぇぇどゆことよ!なんでこんなしょーもないやつにカンが働くのよ。」
ソフィアは1人で怒り出していて、酒場中が僕たちに注目していた。
「あんたもあんたよ!なんでゴブリン追い払えたのよ!あんたが強いからゴブリンが逃げ出したと思ったのに。」
「あっ、あれは、ゴブリンの走る方向を変えたんだよ。」
ルテンは怯えながら、小さな声で答える。
「なにそれ!しょーもな!はぁーーっ。せっかく儲けれると思ったのに。わたしの人生終わったわー。」
「そこまで言うなら、別に仲間にならなくても大丈夫だよ?」
ルテンがビクビクしながら言うと
「できるならしてるわよ!わたしのスキルは『相伝』といって、生涯で仲間と認めた1人の能力を徐々に受け継ぐ事ができるランク9のすごい能力なの!ちなみに、受け渡すほうの能力は消えないから安心して。」
「なんで、そんなすごい能力を僕なんかに....」
「そーね。今は私もそう思うわ。だけどね!私のカンがこいつにしとけって言ったのよ!私のカンは、外れたことがないのよ!今まではね!」
ソフィアの興奮はおさまらず、
「そーよ!あんたにいきなり襲われて子どもを産まされたみたいなもんよ!私の人生返しなさいよ!12年間守ってきた純血を.....この不潔男!」
「いや、それは無茶苦茶じゃ....」
ふと、あたりを見回すと酒場の人、全員がすごい顔で僕を見ている。
このままじゃ僕の生きていく場所がなくなる。どうにかしないとと思った僕は
「わかったよ!責任取るから!君の夢を叶えられるように全力で頑張るから、お願いだから、静かにしてください。」
とルテンは泣きそうになりながら、答えた。
「はぁーーーっ、わかったわよ。死ぬ気で私の役に立ちなさいよ。今日はこんなことばっかりね!」
ソフィアは深いため息をつきながらそう言った。そうすると周りの視線は弱くなり、僕は命拾いした。
ソフィアは静かに話し始めた。
「じゃあ、まずはこの街から一番近くのダンジョンのお宝から取りに行きましょうか。まぁ、罠避けくらいにはなるでしょ。」
「罠避けって.....」
僕は死の宣告をされながらダンジョンに向かうことが決まったようだ。
「何やってんのよ。置いて行くわよ!」
いつの間にかソフィアは酒場の外に出ていて、ぼくを待っている。
「まってよー。」
僕は急いでソフィアのところに行くのだった。もちろん、酒場のお金は僕が払わされた。