第1話
剣とスキルの世界レターニア。この世界の街の外には、魔物という異形のものが存在し、ダンジョンという過去の謎の遺跡も存在する。
この世界の人々は、12歳のスキルの儀にて、自分のスキルを授かり、そのスキルによって存在価値が決まるといっても過言ではない。
スキルは9段階であらわされ、スキル9ともなれば、成長すれば物凄い力を発揮する。
数字の高いスキルをもつ者は、貴族となり国の権力者となっていく。
親のスキルランクに応じて、子どものスキルのランクも決まる。
ただ稀に親のスキルランク関係なく、高いランクのスキルの子どもが生まれることもある。
そんな世界の1人の男のお話。
★
12歳のスキルの儀の日、神官さんが言った一言でぼくの人生は決まった。
「ルテンのスキルは、スキルランク0『反転』じゃ!能力は、、、ひっくり返す能力じゃ!」
ぼくルテンの人生は終わったのだ。
孤児院で育ち一発逆転を狙ったスキルの儀も不発。
孤児院の他の子はいいスキルや最低でもランク2か3なのに、ぼくだけ今まで誰も出たことがないランク0しかもひっくり返すだけの能力。
「はぁー。死にたい。生きていてもいいことないし。でも死ぬのは痛そうだし、きつそうだし、死にたくない。でも死にたい....痛くもきつくもなく死にたい。」
このネガティブの塊のような男が主人公ルテンである。
「はぁー。今日のご飯どうしよう。孤児院は国のルールで追い出されたし。お金を稼ごうにもぼくを働かせてくれるところなんてないだろうし...」
と言ってちいさな街の路地裏を下を向いてトボトボと歩いていく。
「なぁなぁ、ガキ。金よこせよ。ないなら、一発殴らせろ。」
そんな声がかけられて顔を上げると柄の悪そうな男がニヤニヤしながら喋りかけていた。
「.............,」
ルテンは震えて、下をじっと向いていた。
「ガキィ!聞こえねぇのか?金をよこせって言ってんだよぉ!!」
男は大きな声でルテンを脅す。
「.....いくらですか....」
震えた小さな声でルテンは男に言ったが、男には届かず
「無視してんのか?いい度胸だな!
誰を相手にしてるのかわからせてやるよ!」
見ると男の体がみるみるうちに大きくなっていく。
「見ろよ!オレのスキルは『パワーアップ』
これでも無視するのか!ぶっとばされたくなかったら、さっさと金よこしやがれ!」
あまりの恐怖にぼくは男から離れようと逃げ出した。
「おい!待ちやがれ!パワーアップした俺から逃げられると思うなよ!」
すると男はさらに怒りだし、ルテンとの距離をみるみるうちに縮める。すると突然すっ転んだ。
転んだあとも立ち上がれず、転び続けている。
「反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!反転!」
ぼくはひたすらスキル『反転』を使って男を転ばせて、その隙に逃げ出した。
「おい!まちやがっ、、たすけてくれー!」