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死火山の仙人  作者: 青山獣炭
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山頂決戦(後)

 バスウは、視界の右前方で小鬼が倒れたのを見て取ると、いばらの敷物から立ち上がり、杖をひと振りした。

「山に隠れたる者たちよ。今こそ、その力を示せ。地獄の管理者と東の守護者の首を喰らえ」


 その言葉を合図に、頂上のへりの黒い木々の間から、続々と《魔》たちが顔を出して、持国とヤマラージャを目がけて移動してきた。


 その異形の者らは、山賊鉄人さんぞくてつじん頭串団子あたまくしだんご血塗毒蛇ちぬりどくへび不滅屍体ふめつしたい萬年幼虫まんねんようちゅう簒奪駒盤さんだつこまばん凍風駿馬とうふうしゅんめ無骨骨無ぶこつほねなし時限爆鼠じげんばくねずみ略奪猛女りゃくだつもうじょ青山獣炭あおやまじゅうたん発酵石像はっこうせきぞう土留音波どどめおんぱ小人魔人こびとまじん鬼首石皿おにくびいしざら内臓剥出ないぞうむきだし獅子断面ししだんめん耳破壊声みみはかいごえ果樹裸身かじゅらしん殺手品男さつてじなおとこ暗躍骨花あんやくこつばな乱獲狩人らんかくかりうど目潰光放めつぶしこうほう臭液粘土しゅうえきねんど、など┄┄。


 持国は、頂上になだれこんでくる《魔》を迎え撃った。

 何のためらいもなく持国に向かってくる《魔》の群れ。彼はそれを、一刀両断してゆく。倒れる者もいれば、倒れない者もいた。


 斬りながら、持国は吐き気をもよおしていた。と同時に、築き上げられてゆく死体の山に虚しさも感じていた。こうして倒し続けても、いずれまた《魔》は生まれてくる。いや、こうしているこの瞬間にも、どこかで形を成そうとしているものがあるかもしれない。《魔》との闘いに終わりはないのだった。


 持国の周りに、少しずつ幾重もの《魔》たちの輪ができはじめ、彼を取り囲んでいった。

 異形の者の群れは、死体の山を巧妙に使いながら持国の前方をふさいで後退させ、少しずつ彼をひらたい頂上の中央へと誘導してゆく。


 持国は闘いながら、何度も頭を回し、ヤマラージャのようすをうかがった。彼女の背中が徐々に大きくなってゆく。同じように後退させられているらしい。

 バスウの動きも確認した。老人は、また腰を降ろして杖を水平に持ち、瞑想している。次の大法力が使われるまで、あまり時は無さそうだった。すでに相当の《魔》を殺したにも関わらず、仙人の法力は健在のようだった。


 二人は、じりじりと敵に追い詰められ、ひらたい頂上の中央で、ついに背中合わせになった。


「小鬼の姿が見えないけど」

「ピシャーチャなら、バスウの大法力にやられた。だが、だいじょうぶだ」

「大法力にやられて生きてるの」

「気絶してるだけだ。四日後には目覚める。体をバラバラにされない限り、必ず回復する」

「そう。┄┄鳥人もいないけど」

「そっちは我も分からない。突然いなくなった。なにか考えがあるようだ」

「まさか逃げ┄┄いえ、困ったわね。これでは、いつまでたってもバスウには近づけないわ」

「どうする。光の輪で一掃するのか」

「それは最後の最後。ここで小鬼と同じようには、なりたくないの」

「戦い続けるしかないか。光の輪を見る前に我は力尽きるかもしれない」

「宝珠を使ってみます。反応するかどうか分からないけど。わたくしのもとに来たばかりだから。威嚇して、持国」


 持国は、剣を振り回し、円を描きながら《魔》たちの輪をひろげた。


 ヤマラージャは、もも当ての鞘に双剣を収め、兜をぬいで裏側の真ん中にあるくぼんだ空間から宝珠を取り出した。

 その色┄┄。

 持国は目を見張った。青みを帯びている。まるで宝石のような。

 そんな色をしている宝珠は二つと無いはずだった。彼が持っていたものに違いなかった。


 敵との間合いが詰まってきた。一斉に襲いかかってくるつもりなのだろう。


 ヤマラージャは、宝珠を右手で持ち、高く掲げた。

 宝珠は、光る気配もみせない。ただ、青く澄むばかりだ。

「我に、我の宝珠を──」

 持国は、右手を伸ばした。その先に、戻ることを懇願していた宝珠があった。


 耳を切り裂くような叫びがして、《魔》たちが襲いかかってきた。

 それと同時に、持国の右手の中指が、宝珠のとがった先に触れる。

 ──と。




 白い闇。そんなものがあるのか。はるか先に白い影。ばかな。なぜ影だとわかる。見たことがあるような、ないような。それにしても遠い。だが。少しでも進んであの場所に行かなければ。行こう。行┄┄


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