引導-19
林田はその日、テレビ出演の為六本木にあるテレビ局を訪れていた。
「林田さん」
テレビ局を訪れていた長四郎は林田に声を掛ける。
「貴方は?」
「五反田で私立探偵をやっております。熱海と申します」
「探偵さんが何か?」そう言うと「どうもぉ~」と燐が姿を現す。
「君は」
「生徒の羅猛でぇ~す」
「なんで、君が?」戸惑う林田に二人は話を続ける。
「いやね、先生には大変お世話になっているみたいで彼女の保護者の代わりにお礼をと思いまして」
「はぁ」
「先生にどうしても話しておきたいことがあるんです」燐はそう言うと「話したいこと?」と林田は眉をひそめる。
「先生。いや、林田って呼び捨てにさせてもらうわ。あんたがやっていること、きっちり落とし前つけさせてもらうから、覚悟しとけよ」
「すいません。口が悪くて」長四郎は謝罪し、燐を連れて去っていった。
「先生。どうかしましたか?」番組スタッフが声を掛けてきた。
「いや、何でもないです」と笑顔で答えてるつもりだったが、林田の顔は怒りで引きつっていた。
そうして、行く先々で長四郎と燐の姿を目撃していくことになる林田。
だが、長四郎と燐は林田に接触してくるわけではなく、遠目で姿を確認できるだけであった。
遂に、林田もしびれを切らして長四郎と燐に自ら声を掛ける。
「何がしたいんですか?」第一声はそれであった。
「何がしたい? そうですねぇ~」長四郎が濁していると燐は「あんたが、麻薬をばら撒いているところ、もしくは、女の子を斡旋するところを押さえたいだけ」と正直に答える。
「私はそんな事をしていない。警察を呼ぶぞ」
「どうぞ、どうぞ」と燐は強気な姿勢で答える。
「ま、僕たちが目障りならそうはっきりいって欲しいものですけどね」と長四郎が言う。
「勝手にしろっ!!」
林田は踵を返し、去っていった。だが、その道中で誰かに連絡していたのが分かった。
これが、長四郎と燐の狙いであった。
そして、林田は、レセプションパーティーに参加する為にホテルを訪れていた。
勿論、長四郎と燐も後を追いかける。そして、二人を載せたバイクが地下駐車場に入ったタイミングで二人の前に一台のワンボックスカーが止まる。
ガァーっという音と共に、ドアが開き北信会のメンバーが降りてくる。
「北信会の子らか・・・・・・ 確定したな」長四郎はニヤリと笑いながら、バイクを降りる。
「お前らか、目障りなハエってのは」
「それはこっちの台詞」と燐が言うと同時に遅いかかってきた。
長四郎と燐は振って来る鉄パイプを華麗に躱し、反撃する。一人、また一人と二人はいとも簡単に倒していく。
「ひ、ひるむなぁ!」リーダーのMURATAがメンバーを鼓舞するが、あまりにも二人が強いのでメンバーも腰が引ける。
「止めと行こう」長四郎は懐からパチンっと音を立ててブーメランを組立てそれを投げる。
ブーメランは空を切り、MURATAの髪の毛を剃って長四郎の手元に戻る。
「ナイス!」
奇声を上げ逃げようとするMURATA目掛けて今度は燐がダーツの矢を投げ、壁に貼り付けにするのだった。