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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾捌話-苗字
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苗字-2

「お邪魔しまぁ~す」


 長四郎はそう言って、被害者宅へと上がる。


「ここで、被害者は殺害されとったと」


 一川警部はリビングに一足先に入り、長四郎と燐に紹介する。


「これか・・・・・・」


 床に残されたダイイングメッセージを観て長四郎は、宙で字を書いて首を傾げる。


「何してんのよ?」


「いや、これの意味を考えていた」と燐の問いに答える。


「分かったの?」



「分かんなぁ~い」とぶりっ子めいた言い方で答える長四郎は、すっと立ち上がると一人、別の部屋へと消えていった。


「どこ行くのよ」燐もそれに続いて行く。


 長四郎が入った部屋は二階の寝室である。


「ここが何?」


「寝室だね」


「言われなくても分かってるわよ」


 燐はつまらなさそうにベッドに腰かける。


 長四郎は腰かけずに、部屋をきょろきょろと見回しながら物色する。


「何を見てるの?」


「うん? ダイイングメッセージに繋がりそうなものはないかなぁ~ と思って」


「寝室にはないでしょ?」


「それもそうだ。よし、次の部屋だ」


 長四郎は寝室の隣にある阿武亜実が、書斎として使っていたであろう部屋に入る。


「ここは書斎か・・・・・・」


 長四郎はそう言って、机の引き出しを開けようとする。


「ねぇ、何を探してるの?」

 先程からの長四郎の行動から見て、何かを探しているようであった。


「あった。これだこれ」

 長四郎は引き出しの中から名所ケースを取り出した。


「一流商社マンが名刺をおざなりに扱うとは思えなかったんだよなぁ~」


 長四郎はパラパラと名刺を見る。


「もしかして、そこに犯人の名前が?」


「どうかな?」長四郎はニヤッと笑う。


 暫くして、長四郎は早々にその作業を辞めた。


「犯人、分かったんだ」燐がそう言うと「分からない」そうきっぱりと答える長四郎。


「ダメじゃん」


「ダメダメだなぁ~」


「開き直るなよ」燐は長四郎のパンッと頭を叩く。


 二人は再び、一階へと降りると一川警部と合流する。


「どうやった?」


「ダメっすね。分からんすわ」


「ホント、ダメ探偵ね」と燐から手厳しい言葉を貰う長四郎。


「そんな簡単に分かっちゃったら、話が終わっちゃうでしょ?」


「何よ。それ」


「何でもない」と気まずそうに、答える長四郎であった。


 次に向かったのは、被害者の勤務先である商社へと向かった三人。



「どうも、部長の桜台です」


 三人に名刺を渡す桜台に「頂戴します」と言いながらもらい受ける。


「それで、今日は何を?」


「阿武さんのデスクを調べたいのですが」長四郎は用件を伝えた。


「構いませんよ。気のすむまで調べてください」


「じゃあ、お言葉に甘えて」その後に長四郎は一川警部に会社での様子を聞くように指示を出して、阿武亜実のデスクへと場所を移した。


「パソコンの中、見たいよね」長四郎についてきた燐はそう言う。


「いいや、見たくないね」と一蹴する長四郎は、机の引き出しを速攻で開ける。


「あった、あった」

 長四郎は名刺ケースを取り出し、パラパラとめくり始める。


「また、それぇ~」


「そうだよ。こういう地道な努力が事件を解決する糸口になるんだから」と答える長四郎の顔が段々と渋い顔になっていく。


「どうしたの?」


「どうしたの? じゃないな・・・・・・・」長四郎はへの口になっていると「何かお困りですか?」と一人の社員が声を掛けてきた。


「いえ、大丈夫です」と答える燐に「困ってます。助けてください」と長四郎は社員に助けを求める。


「どのような事でしょうか?」と尋ねてくるので「失礼ですが、取引先の相手の名刺を見せてもらえませんか?」と頼み込む長四郎。


「分かりました。少々お待ちください」


「そんなに名刺が大事なの?」


「ああ、とっても大事」と長四郎は答えるのであった。

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