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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾漆話-試練
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試練-6

 一人、散歩に出た佐藤田警部補は、ある車に目をつけていた。


 事件現場のNo.1ビル周辺を散策していると変なところで駐車している車を見つけた。


 その車は規制線の向こう側にいるのだが、規制線が拡大していくと、その車は移動する。しかし、規制線ギリギリまで移動し駐車し続けているのだ。


「匂うなぁ〜」佐藤田警部補はスマホを取り出し、絢じ巡査長に電話を掛けた。


「どの車何ですか?」


 佐藤田警部補の電話を受け、臨場した絢巡査長は尋ねる。


「あの車」と指を指す佐藤田警部補。


「よぉ〜し、とっちめたる!!」大谷巡査は車に向かって行こうとすると、絢巡査長が首根っこを掴んでそれを止める。


「な、何をするんですかぁ?」


「いきなり、行ってもダメよ」


「絢ちゃんの言うとおり」と賛同する佐藤田警部補。


「ど、どうしてですかぁ〜 先手必勝と言うことわざの通りに行けば良いではありませんか!」


「万が一、中の人に危害が加わるようなことがあったらどうするの」


「そ、それはそうですが・・・・・・」


 俺は今にでも容疑者を逮捕しに行きたいんだと言わんばかりの顔をする。


「で、どうします? 下手に手を出せませんが」


「そうねぇ〜 職質ってわけにも行かないし。う〜ん参ったな・・・・・・」

 佐藤田警部補は頭をボリボリと書いて少し思案する。


「絢ちゃん。君の出番だ」


「私ですか?」


「そう」と答える佐藤田警部補の目には確固たる自信があるようであった。


 佐藤田警部補の作戦は始まった。


 第一陣として、絢巡査長が車に近づき黒塗りの窓をコンコンとノックする。


 ウィーンという音と共に窓が開き、中には30代であろう男が乗っていた。


「はい、何でしょう?」


「道をお聞きしたいんですけど」


「道ですか?」


「ええ、そうです。No.1ビルなんですが・・・・・・」と答えながら、車の中を覗き見る。


 中には機材がびっしりと入っていた。そして、モニターには観たことのある人物達が映っていた。


「この通りをまっすぐ行けば、行けますよ。マスコミの方ですか?」

 逆に質問が返って来るので、「そうです」と答えながら男に見えないよう佐藤田警部補達にサムズアップして見せる。


「行きます!!」大谷巡査は、車にパァ〜っと駆け寄ると警察手帳を提示しながら「警察だ! 任意同行に応じて貰おうか!!!」と言う。


 男は大慌てで車を発進させようとするが、その前に大谷巡査が車から引き摺り落とした。


「公務執行妨害で貴様を逮捕する!!!」そう言って、男の手にガチャリと手錠を掛ける大谷巡査。


「やるね。君」と褒めの言葉を述べる佐藤田警部補。


「結構、荒っぽいですけどね」とやれやれ気味に絢巡査長は言うのだった。


 その頃、40階にフロアについた長四郎達は指示が出て来なくて戸惑っていた。


「来ないね。指令・・・・・・」


「そうだな」と燐に答える長四郎。


「何か、あったのでしょうか?」そう言うリリは、ミッションの類がないのか周囲を見回す。


「何もしないってのが、今度のミッションじゃないのかしら?」帝都は自分の推理を披露して見せると「違うな」と長四郎に一蹴される。


「君の推理はどうだと言うんだね?」高橋が質問した。


「犯人に都合の悪いことが起こったと考えるのが普通でしょうね」


「犯人が捕まったってことですかね?」少し楽観的希望を見せる庵野。


「それは何ともですが」


“ご名答。犯人の身柄は確保しました”


 何とも呑気な声で佐藤田警部補の声がした。


「その声は、佐藤田さんっすね」


“探偵さん。取り敢えず変なゲームはしなくて良いから”


 その一言に監禁されている身はほっと胸を撫で下ろす。


「でも、次のミッションは飛ばせないよ・・・・・・」犯人の男はニヤッと笑って見せる。


「どう言う意味だ! それは!!」大谷巡査は男を締め上げると「く、苦しい」とだけ答える男。


「大谷君、離して」絢巡査長にそう言われた大谷巡査は手を離す。


「ゲホッ! ゲホッ!! 全く警察は乱暴なんだから」


「ごめんね。で、次の試練って何?」佐藤田警部補が聞くと男はしばらくの沈黙の後、口を開いた。


「爆弾だよ」と。

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