表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾漆話-試練
720/758

試練-4

「頭痒いなぁ~」


 佐藤田(さとうだ )警部補は覆面パトカーの助手席に座りながらそう呟く。


「薬局、寄りましょうか?」車を転がす(あや)巡査長がそう尋ねる。


 ここで補足しておくとゴールデンウイークなので、一川警部は家族旅行、遊原巡査と明野巡査の二人は実家に帰省という中での出動で、特に予定もないこのコンビで出動することになったのだ。では、話に戻ろう。


「いや、大丈夫。それより、急ごう」


「はい」


 絢巡査長はアクセルをグッと踏み込み、車をNo.1ビルに向けて走らせる。


 現場に到着すると、もう既に駆け付けた警官達であふれかえり、テントも数個、設置されていた。


「命捜班の方ですか!」

 車から降りると一人の刑事が敬礼しながら、声をかけてきた。


「そうですけど。貴方は?」佐藤田警部補がそう尋ねると「はっ! 自分はあなた方の手伝いを命じられた大谷 功(おおたに いさお)巡査であります!!」と敬礼ポーズのまま答える。


「元気が良いねぇ~」


「それだけが取り柄であります!!」


「絢ちゃん、彼から捜査本部の方針聞いといて」


 そう言って、どこかへ行こうとする佐藤田警部補。


「あ、待ってください。佐藤田さんは何をするんですか?」


「え? 散歩かな」とだけ答えふらぁ~っと散歩しに行った。


「な、何ですか? あの人は」


「私もよく分からない。それで、捜査本部はどういう風に中の人を救出しようと?」


「今、ビルは完全に締め出されている状態ですので、警視庁のサイバー犯罪課がロックの解除を試み、その間にも消防でも救出口の設置に取り組んでいるとのことです」


「そう」


「命捜班は特にすることはないかと思われますが・・・・・・」


 この大谷巡査は、命捜班二人の監視役として遣わされたのだと絢巡査長はそう思ったが本人はそのことに気づいていない様子なので言わないことにした。


「そんなことはないよ。あの中に、知り合いが居てね。それで、事件が発覚したの」


「そうだったんですか。それで、その知り合いの方は無事なんですか?」


「今のところは。でも、犯人からの挑戦状をクリアしないとビルから出られないらしいの」


「そんなバカな事が」


「そんなバカな事をしようとしているの。犯人は。それにビル内に指示を出しているって所からビル内、もしくは、この近くに居るかもしれないの」


「どうして、そんな事が分かるんですか?」


「中に居る人の推理よ。このビルのコントロールルームは何階?」と質問すると「少々お待ちください。ビル内の地図をお持ちしますから」


 大谷巡査はテントに行き、内部構造の地図を持って戻ってきた。


「これです」


 車のボンネットに地図を広げて、コントロールルームを探す。


「コントロールルームは二箇所あるみたいね。10階フロアと地下1階に」


「その様ですね。今すぐにでも、突入したいところですが」


「気持ちは分かるけど、落ち着いて。はい、深呼吸」


「すぅ~」と息を吸込み「はぁ~」と息を吐く大谷巡査。


「これをどうやって、中の人に? 中との連絡が不通ですから」


「そうなの。それが一番のネックなところだから」


「消防の人達はどのくらいの時間で、通路を作るんだろう?」


「防火シャッターはかなり厚いらしく、難航すると言っておりました」


「そう。中で、今、何が起きているのか・・・・・・」


 絢巡査長は高くそびえるNo.1ビルを心配そうな顔で見上げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ