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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾陸話-賄賂
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賄賂-13

「だから、俺は殺してないって」


 そう答えるのは、マンションの管理人の赤柳 嘉彦。


「じゃ、目撃証言はどうだというんだ?」


 マンションの住人から、赤柳と門口早苗が口論している所を目撃されタレコミされたの

だ。


「知らないですよ。そんなの」


「時間はたっぷりあるんだ。覚悟しとけよぉ~」

 そう取り調べを担当する刑事は赤柳に向かって言うのだった。


「可哀想ですね」

 取調室の小窓から覗き込む遊原巡査の感想それであった。


「可哀想だね」と佐藤田警部補は適当に相槌を打つ。


「班長はあの人が犯人だと思ってます?」


「思ってない。ああ、そうだ。明野に頼み事してるから明野と合流して頂戴」


 そう遊原巡査に指示を出して、自分は命捜班の部屋へと帰っていった。


「ホント、掴めない人だな」遊原巡査ははぁ~ っと、ため息をついて明野巡査の元へと向

かった。


 そんな事、つゆ知らずな長四郎達はというと・・・・・・


「で、どう?」


 リリは長四郎が持ってきた黒革の手帳と睨めっこする燐に尋ねる。


「うん、ここに金の流れが書いてある。けど」


「けど?」


「そこまでしかない。金額の詳細とかはないね」


「どういう金の流れなの?」


「それは、こういう事」


 PTAの会費を多めに徴収 → 帳簿上では以前の値段で記載 → その差額分をキックバッ


「て、事なのよ」


「じゃあ、運営費は変わらないままで運営されているって事?」


「そういう事。この物価高の時代を上手く利用した手口ね」


「名探偵さん、裏帳簿なんだけどさ」横で暁美の監視をしていた長四郎が声を掛ける。


「何よ。ヘボ探偵」


「ヘボ探偵は思うんですよ。あそこにあるんじゃない? 裏帳簿」


 そういう長四郎の指さす先は、暁美のデスクであった。


「なんで、そう思うの?」


「黒革の手帳を後生大事に持ち歩いている様子から見るに、あれが裏帳簿なんじゃない?」


「え~」


「え~ って、信じてくれないの?」


「いや、どうやって盗みに行こうかって。ねぇ、リリ」賛同を求められたリリは

「盗みに行くとは思ってないよ」と否定される。


「ホント、横暴な子だよな。ラモちゃんは」


「ホント、ホント」

 リリは長四郎の発言には賛同する。


「な、何よ。じゃあ、どうやってあの稲垣暁美が横領してるって証明するの?」


「そんなのは自分で考えなさいよ。でも、裏帳簿のコピーは門口早苗さんを殺した犯人が

持ってるかもな」


「根拠は?」


「だって、部屋を探して見つからないって事は、犯人が持ち去った。そう考えるのが妥当

な気がするけどな」


「じゃあ、犯人見つけりゃ取り戻せるかも」


「とっくに処分してるんじゃないの」と水を差すリリ。


「リリちゃん、ホント賢いね。どっかの楽観的JKとは偉い違いだ」


「楽観的で悪かったわね!!」


 燐は長四郎に後頭部を思いっきり叩くのだった。

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