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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾陸話-賄賂
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賄賂-3

 稲垣久子はその日、部活動に勤しんでいた。


「パス!!」久子はチームメイトに向かってそう叫ぶとボールが飛んでくる。


 久子は相手選手をかいくぐる形でキャッチ。


 華麗なドリブルからのシュートで点を決める。


 チームメイトとハイタッチを交わしていると「私ならもっと上手くやれるのに」と言う声が聞こえる。読者の皆様もお気づきだろうが、羅猛燐である。


「何よ。あんた?」チームメイトの一人が喰ってかかる。


「本当の事を言ったまで」


「部外者なのに、何、分かったような口聞いてんだよ」


「女のヒステリーは怖ぁ~い。ね、リリ」


 リリは愛想笑いを浮かべてその場を取り繕う。いくらなんでも言い過ぎだ。リリはそう思っていた。


「ヒステリーですって!?」激昂する相手に久子が「まぁ、待ってよ」と仲裁に入る。


 喧嘩を売られた相手にも関わらずだ。


「あなた、私に用があるみたいだけど。どこかで?」


「会ってない。し、部活動の邪魔は極力避けたいから5分だけ頂戴」


 燐からのまさかの提案に戸惑うバスケ部一同。


「良いわ。5分じゃなくて3分だけなら」


「上等」


 燐と久子の1 on 1が開始された。


 先制攻撃を仕掛けたのは久子。久子の手の中にはボールがある。


 久子は燐のディフェンスを軽々と避けて、シュートを決める。


「やっぱり、久子は凄い」チームメイトが褒めると燐にギッと睨まれる。


「燐。口だけかぁ~」リリの声援に燐は「うるさい!」と返す。


 今度は燐の手の中にボールがあり、燐は久子の頭上目掛けてボールを投げ、そのままゴールを決める。スリーポイントゴールだ。


 ボールがネットに入った途端に燐は「ふんっ」と鼻で笑う。


「何、あいつぅ~」


「態度悪ぅ~」

 様々な罵詈雑言が燐に向けられるが、燐はそんなの気にしないといった感じで試合を続けようとボールを久子に手渡す。


 久子も燐と同様の技を使おうとするが簡単に燐に防がれてしまう。


「あ~あ」落胆するチームメイト以上に久子は悔しがる。


「ま、これであんたがどういう人間か。分かったわ。ありがとう」


 燐はそう言って久子に握手を求め、久子もそれに応える。


「じゃ、またねぇ~」

 燐はリリと共に体育館を後にした。


「で、何が分かったの?」


「娘は関係ないってことじゃない。私のスリーポイントシュートにも文句を言わないあたり、リリの評価通りだと思ったよ」


「そう。それでこれからどうやってお金の在りかにたどり着くわけ?」


「そうね。この学校に保管されているであろうPTAの帳簿から追おうかね」


「流石は、名探偵」


「まぁ~ねぇ~」


「探偵さんにはこの事を?」


「ううん。言わない、言っても『だから、何』って言われるだけだから」


「冷たいんだね」


「あいつは、冷酷なのが売りだから」


 そんな事を言われているとも知らない長四郎は事務所で盛大なくしゃみをするのだった。

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