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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾伍話-都市
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都市-14

「っていう事があってな・・・・・・」


 長四郎は依頼人である小学生の常盤紘一に事の顛末を話した。


「僕の身代わりになった警官の方は大丈夫だったんですか?」


 自分の身に危険が及んでいたにもかかわらず、自身の身代わり役を買って出た警官の身を案じるこの心づかいに長四郎は感心した。


「大丈夫だよ」


「良かったぁ~」安堵する紘一。


「お前さんはホントに良い奴だな。将来が期待できるよ」


「ありがとうございます」


「どっかの女子高生に聞かせてあげたいっ!!」


「私がなんだって?」


 事務所を訪れた燐の第一声はそれであった。


「来てたんだ。紘一君」燐は紘一に話しかける。


「あ、はい。お邪魔してます」


「で、聞いてどうだった?」紘一に感想を求める燐。


「トリガさんじゃなくて良かったと思っています」


「そうかぁ~」


「彼女はね、そういう事が聞きたいんじゃないんだよ。自分の推理で事件を解決したことを褒めて欲しいって言いたいのよ」


 燐の気持ちを代弁する長四郎に燐のカウンターパンチがお見舞いされる。


「ぐげぼっ!!」


「か、かっけぇ~」


 燐の技を見て、あまりのカッコよさに紘一は惚れ惚れする。


「ありがとう。それより、事件の犯人聞いた感想は?」

 不躾な質問をする燐に長四郎は「はぁ~」と深いため息をつく。


「死に際の笑顔を見たいっていう理由で、顔を引きつらせていたって聞いた時はゾッとしました」


「やっぱり、そうだよね。私もそうだったの」


「ラモちゃんはそんな話をしに来たのか?」


「うん、そうだよ」


「ひっどい、女」


「そんなことないし。ねぇ」


「は、はい」何とも答え難そうな顔をする紘一に長四郎は同情する。


「じゃ、僕はこれで帰ります。ありがとうございました」


「おう、気を付けて帰れよ」


「はぁ~い」


 斯くして、紘一は帰宅の途についた。


「ねぇ、私の連絡を無視している間に、塾を嵌める算段を取っていたんでしょ?」


「そうだよぉ~ 彼に近い身長の警官を用意してもらっている間に、病院にも協力を取り付けてさ」


「ホント、人を嵌めることに特化しているよね」


「お褒めの言葉ありがとう」


「ありがとうじゃねぇし」


「あ、そう言えば」長四郎はある事を思い出した。


「何?」


「紘一君が来た時、変なおばさんが居たんだよ。事務所に」


「ああ、それ。私のママ」


「ママ!?」


「うん。言ってなかった?」


「言ってねぇよ。んだよ。ラモちゃんのママかよ・・・・・・」


「あんたの事言ってたよ。頼りなさそうって」


「親子そろって、悪口かよ」


「でも、こうも言ってたよ。優秀そうだって」


「貶すか褒めるかどっちかにしてもらいたいものだな」


「ま、良いじゃない。今回の事件を解決したって、話したら褒めてたよ。うちのママが褒めるって珍しいんだから」


「ヘイヘイ」


 長四郎はこの親子に苦しめられそうだなとそう予感するのだった。


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