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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾伍話-都市
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都市-7

 絢巡査長の作戦を実行するために、燐は交番を訪れた。


「あのぉ~ すいません」燐は帆場に声を掛ける。


「はい。どうされました?」

 帆場は笑顔で燐に用件を尋ねる。


「落し物しちゃったんですけど」


「落とし物ですね。では、紛失届にご記入してください」


「はい」

 燐は偽名、偽の住所を記入してそれを手渡した。


「はい。名前が国生 心さん」


「はい」


「紛失物は、財布で間違いないですね」


「はい」


「具体的にどんな財布ですか?」


「え~っと、長財布で。色は、ピンクです」


「ピンクの長財布。キーホルダーとかついてますか?」


「ついてません」


「ついていないと・・・・・・ 中にお金は?」


「一万円だけ入ってます。新札の方です」


「はい。もう結構ですよ」


「すいませんが宜しくお願いします」


「はい」

 そう返事をする帆場を見て、本当にこいつが通り魔なのか。少し疑問に思う燐であった。


 そうして、日勤最後の巡回時間がきた。運よく帆場が交番から出てきた。


「行こうっ!!」


 絢巡査長と燐は気づかれないように尾行を開始した。


「餌に食いつきますかね?」


「そうじゃなきゃ困る」


 そんな会話をしながら、尾行を続けていると絢巡査長が巻いた餌に食いついた。


 帆場は国生心こと燐が落としたであろう財布を拾ったのだ。


「あ、拾った!」二人は嬉しそうにハイタッチする。


「ここから本番、気合いを引き締めて行こう!」


「はい!!!」


 燐と絢巡査長は再度、ハイタッチをした。


 交番に戻った帆場はすぐに燐に連絡した。


「受け取りに伺います」燐はそう告げ、交番に赴くと帆場は退勤しており引継ぎの警官が紛失物の引き渡しをした。


 だが、二人は、終始尾行をしており中に帆場が居ることを確認した上で燐は乗り込んでいるのだ。居ないなんて言うのはおかしい。燐はそう思い、引継ぎの警官に質問した。


「あの、昼間居た警官の方は?」


「ああ、帰りましたよ」


「帰ったんですか?」


「そうですが、それが何か?」


「いや、素敵な方だなと思って。名前とか分かります?」勿論、相手の名前は分かっているが燐は敢えてそれを質問した。


「帆場って言います」そう答える警官に「帆場さんって言うんですね。ありがとうございます」燐は礼を言って交番を出た。


「非合法な証拠物件、ゲットです」すぐにポリ袋にしまう燐。


「中に居たの?」


「居ませんでした」


「居ない? でも、出てきては」


「出てきてないですよね。だから、裏口があるんじゃないかと」


「しまったなぁ~」


「はい・・・・・・」


 燐と絢巡査長は自分達が迂闊だった事に悔しがるのだった。


 その頃、長四郎はというと。


 文京区内の居酒屋で一杯ひっかっけていた。


 そして、テーブルの上には医療用メスのカタログが並べられていた。


「ふ~む。これのどれかなんだよな・・・・・・」


 長四郎はそう呟いて枝豆を頬張る。


 カタログには色んな種類のメスが記載されており、ちょっとした勉強だな長四郎はそう思いながらカタログをペラペラとめくる。


 すると、スマホに着信が入る。燐からであった。


「しもしも?」


「しもしも? じゃない。手伝って欲しいんだけど」


「手伝う? 何を」


「何でも良いから。今、どこ?」


「居酒屋」


「本当に飲むのが好きなんだね」


「お前さんも飲むようになったら分かるよ」


「そういうの今は良いから。で、どこの居酒屋にいるの?」


「こちらから出向きます」

 長四郎はカタログを片付けて、移動する準備を始めるのだった。

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