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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾肆話-世界
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世界-15

 報酬受け渡しの為、指示されたのは武蔵村山市にある山中であった。


「春になってきたとはいえ、夜は冷えるなぁ~」

 指定された場所で待つ長四郎は燐にそう話しかける。


「そうねぇ~」


「まだ、来ないの?」


「うん、連絡ない」スマホを見て着信が入っているかを確認するが、入っていなかった。


「帰ろうか」


「その必要はありませんよ」


 声がした背後を振り返ると依頼人のアルテイシア升美と釈放された倉久賢が立っていた。


「倉久さん、釈放されたんですね」燐が嬉しそうに声を掛ける。


「ええ、おかげさまで」


「で、報酬は?」


「ちょっと、いくらなんでもがめつすぎ」


 燐がそう言って、窘めると「だって、寒いから」と長四郎は不服そうな顔をする。


「そうですよね。もうすぐですから、少し待っていてください」


 アルテイシアはそう言うと、頭上を見上げる。


 しばらくすると、頭上に大きな円盤が瞬間移動して現れた。


「UFOだぁ!!!」長四郎は目を輝かせて燐の背中を嬉しそうにバンバンと叩く。


「痛い。痛い。でも、すげぇ~」


「驚きましたか?」アルテイシアにそう聞かれた二人は声を揃えて「はい」と答える。


「では、報酬をお支払いします」アルテイシアは円盤を見上げる。


 長四郎は円盤から大量の小判でも降ってくるんじゃないか。そう思っていると、円盤から一筋の光がアルテイシアの手元に降り注ぐ。


「これが報酬です」


 光の中から、輝く石を長四郎に手渡すアルテイシア。


「これって、宝石?」

「うん、宝石」燐はそう答える。


「では、我々はこれで」


 今度は、アルテイシアと倉久に光があたり、二人は円盤に吸い込まれていった。


「うっそ・・・・・・」

 燐は口をポカンとさせながら、去っていく円盤を見送る。


「いつからXファイルになったんだ? この小説は」

 長四郎は貰った宝石を見て、顔をニヤつかせるのだった。


 後日、宝石店に出向いた長四郎と燐。


 アルテイシアから貰った宝石を換金しようと考えての事だった。


 鑑定の間、並ぶ宝石の値段を見て、目を見張る長四郎に対して燐は品定めの視線を向けていた。


「鑑定、終わりました」鑑定士が宝石を携えて戻ってきた。


「どうでした?」長四郎は手ぐすねを引いて、その値段を聞こうとする。


「鑑定不可の代物です」


「不可?」

 気を失うようによろめく長四郎に鑑定士は続ける。


「不可と申しましたが、当店では価値を決められない程の宝石です」


「え? っていう事は、物凄い価値があるってことですか?」燐が質問すると「はい」と鑑定士は答える。


「失礼ですが、こちらをどのようにして手に入れられたのでしょうか?」


「ええと」宇宙人から貰ったとは言えず、回答に困る燐。


「倉を調べていたら、見つかったんですよ。という事で、鑑定ありがとうございました!!」

 長四郎は宝石をひったくるように自分の懐にしまい、燐を連れて退店した。


「宝石、どうするの?」


「宇宙人との友情の証だ。売るのはや~めた」


 長四郎は宝石を大事そうに持ち帰るのだった。


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