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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾肆話-世界
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世界-8

 翌日、長四郎と燐は警視庁へと訪れた。


「おはようございます。探偵さん」

 出迎えた遊原巡査が朝の挨拶をする。


「おはよう。昨日はありがとうね」


 長四郎は例の下の階の住人の証言について礼を述べる。


「いえ、役に立ちましたか?」


「いいや。立ってないな」


「なんで、そういう事言うわけ?」と燐が言う。


「本当の事なんだもん」


 子供みたいな事を言うな。燐はそう思った。


「今日はどうしますか?」


「今日はねぇ~ 被害者の職場でもう少し調査したいな」


「分かりました」


 斯くして、三人は再び被害者の職場へと向かった。


「またですか?」

 副社長の姐母は怪訝な感じで三人に応対する。前回、来たときとは打って変わった感じで長四郎達はビックリする。


「ええ、またです。被害者って、社内で敵を作っていたのではないかと思いまして」


「確かに弊社の社員が逮捕されましたけど。そのようなことは」


「それはこっちで調べますから」と遊原巡査が答えると「そうですか。手短に願いますよ」と姐母はそう言い付け去っていった。


「何、あのおっさん・・・・・・」


「ラモちゃん、ちょっと見ない間に人というものは変わるものだよ・・・・・・」


「なんそれ」


「さ、お二方、聞き込みしますよ」


「はい」長四郎と燐は声を揃えて返事をする。


 社員に聞き込みを開始した。が、社長の悪口を言うものは一人も居なかった。


「ダメだ。事件に繋がる話なんて何一つ出て来やしねぇ~」


 休憩所の自販機コーナーで長四郎はぼやく。


「ホント、それ」燐も慣れない聞き込みに疲れたらしく、ぐったりする。


「探偵さん。これ、意味あります?」

 遊原巡査がそう聞くと「なかったな」と素直に認めた長四郎。


「おい!」すぐさま、燐がツッコミを入れる。


「そうカッカしなさんな」


「カッカするよ」


「ラモちゃん。捜査ってのは、トライ&エラーの繰り返しだから」


「え~」


「修行が足りんな。ラモちゃんは」


「そう。足りない」遊原巡査も長四郎の発言に同意する。


「何、それぇ~」


「で、お次はどうします?」


「お次はぁ~ お昼ご飯食べながら考える」


「了解です」


「残り五日だよ? 大丈夫なの? そんな吞気な感じで」


「え? 大丈夫なんじゃない?」と吞気な事を言う長四郎に燐は「絶対、大丈夫じゃないな」と告げるのだった。


 長四郎達が聞き込みをしている頃、警視庁内にある留置場に佐藤田警部補は居た。


「あ、どうも。差し入れです」

 佐藤田警部補はそう言いながら、チェーンのハンバーガー店の紙袋を携えて倉久の居る留置場に入る。


「どうも」


「あ、これ。食べてください」


「いや、でも・・・・・・」


「これ食べたから、有罪になるわけじゃないですよ」

 佐藤田警部補は紙袋から自分が飲むコーラのカップを取り出し、ちゅうちゅうとストローで吸いながら飲み始める。


「ホントに頂いても?」


「あ、どうぞ」


「では遠慮なく頂きます」倉久は誘惑に勝てず、紙袋に手を出す。

 倉久はダブルチーズバーガ―に手を取り、美味しそうに頬張る。


「すいませんね。時間かかっちゃって」


「いえ・・・・・・」


「あ、そうだ。犯人に繋がりそうなものが出てきましたよ」


「本当ですか!?」


「ええ、まぁ」


「それで、犯人は誰なんです?」


「う~ん。それはお教え出来かねます。ごめんなさいね」


「そうですか。あ、もしかして、この前取り調べに来た探偵さんが犯人を?」


「ま、そんなところです」

 チキンナゲットのバーベキューソースに封を開けて、ポテトにバーベキューソースを付けて食べる佐藤田警部補。


「私は、あと五日で無実を証明できるのでしょうか?」


「できるんじゃないですかね? 探偵は依頼を守ってなんぼの仕事ですから。さ、食べて。あの汗臭い刑事の取り調べに備えましょう」


 佐藤田警部補はハンバーガーを倉久と食べながら、取り調べでの対応術を指南するのだった。

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