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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾参話-幻想
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幻想-18

 午後19時

 ジャスティのライブが始まった。

 今日のライブは、他のアイドルと対バン形式のものであった。

 その為、客は百人を優に超えていた。

「今日も凄い声を出しているな」

 アイドルの歌声よりもオタクの声援の方が大きい。それが百人近くともなると、それは凄まじいものであった。

 すると、女性の悲鳴が男達の怒声の中から聞こえる。

 アイドルもビックリし、パフォーマンスを辞める始末で歌のインストゥルメンタルだけがライブハウスに響き渡る。

「はい。ごめんよ。ごめんなさいよぉ~」

 長四郎は人混みを搔き分けて悲鳴の元へと向かう。

 そこに居たのは、腕から血を流して床に座っている真田純と、ナイフを持ち息を切らし今にも遅いかかりそうな雪代ゆきながいた。

「絢ちゃん」

「はい」そう返事しながら出てきた絢巡査長は「傷害罪で現行犯逮捕します。泉ちゃん。時間を」と明野巡査に指示を出しながら、雪代の手に手錠を掛けるのだった。

「大丈夫?」

「はい・・・・・・」

 長四郎の問いかけに純は、弱々しく答えるのだった。

 当然のことながら、ライブは中止になり純は病院へ逮捕された雪代は最寄りの警察署へと連行された。

 そして、長四郎と燐は警察署ではなく真田が運び込まれた病院へと来ていた。

「なんで、警察署じゃないの?」燐は真田の治療が終わるまでの間、長四郎に真意を問うた。

「なんで? あっちの疑問はすぐに解決できるから」

「どういうこと?」

「男と女が揉めると言ったら、一つしかないでしょ?」

「交際ってこと?」

「Yeah」

「Yeah じゃなくて。てか、あの人、そんな風に見えなかったけど」

「男だけのコミュニティに女が一人飛び込むと、羊の皮を被った狼に狙われるってことだよ」

「は?」燐は眉をひそめて首を傾げる。

「ありがとうございました」

 病室から治療が終わった真田が礼を述べる声が聞こえてきた。

 ガラガラっという引き戸がスライドする音と共に、真田が病室から出てきた。

「あ、刑事さん」ぶりっ子めいた言い方で長四郎に気付く真田。

「刑事!?」燐は変な声を出して驚くが長四郎は咳ばらいをして誤魔化す。

「申し訳ないのですが、二、三お話をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

「はい・・・・・・」

 危うくバレるところだったじゃないか! 長四郎は顔でそう言う表情をして燐を見ると真田を連れて病院の休憩所へと案内する。

「はい、どうぞ」

 長四郎はホットミルクティーのペットボトルを差し出す。

「ありがとうございますぅ~」

「とんだ災難でしたね」燐がそう声を掛ける。

「ええ。あれ? 神楽ちゃん?」

「そうでぇ~す! 神楽蘭でぇ~す!!」

 燐は決めポーズをする。

「ダサっ! 何、そのポーズ」

「うるさいわね」

「一人だけだと確かに変かも・・・・・・」

「そうなんすか?」

「はい」

「じゃないでしょ。事件の話!」

「あ、そうだった」

「すいません。私のせいですよね?」

「どうでしょうか? 何があったんですか?」

「はい」

 ライブが始まってすぐに雪代から声を掛けられた。よく聞き取れない中、男女交際について問われた。が、そんな話をする気分ではなく適当に聞き流していると突然、ナイフで切りつけられたというわけだ。

「そうでしたか・・・・・・」長四郎はつまらなさそうに答えた。

「やばっ」

 燐のこの「やばっ」は、真田に対しての「やばっ」であった。

「なんか、すいません」取り敢えずの謝罪をする真田に「それは雪代さんに言ってあげてください」と前置き長四郎は「この男性アイドルグループをご存知ですか?」そう言って絢巡査長が調べ上げた男性アイドルグループの写真を見せる。

「はい、知っています。昔、追っかけしてましたから」

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