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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾参話-幻想
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幻想-8

 絢巡査長達と別れた長四郎は自分の仕事に戻った。自分の仕事つまりは剛士の浮気調査だ。

「あ、刑事さん」

 戻ってきてすぐに剛士の方から声を掛けてきた。

「どうも」

「どうかされました?」

「いや、ライブどうだったかなぁ~ って」

「今日も盛況でしたよ」

「なら、良かったです。あの差し支えなければ、グループの方々を紹介して頂けますか? 飲み代は僕が持ちます。ああ、ご安心ください。奥様へのフォローも勿論致します」

「分かりました。紹介しますよ」

「ありがとうございます」

「お店が決まっているんで、お教えしますね」

「お願いします」

 剛士から店を告げられた長四郎は先に店へと向かった。

 指定された店はイタリアンレストランであった。

 長四郎は輸入された地ビールとマルゲリータピザを注文して、剛士達の到着を待つ。

「何名様ですか?」そう言う店員の声が聞こえてきたので、長四郎は入口の方に視線を向けると剛士達のコミュニティグループが来ていた。

「あ、こっちです!!」

 長四郎は手を挙げて、剛士達を招き入れる。

「どうも。こちら、刑事の亀山さん」

「相棒みたい~」

 少しぶりっ子めいた物言いをするアイドルと年が変わらなさそうな女性。

「ああ、彼女は真田 純(さなだ じゅん)さん」剛士から紹介された純はペコリと頭を下げる。

「そして、左手から椿 始(つばき はじめ)くん。川久保 一輝(かわくぼ かずき)さん、赤座 龍二(あかざ りゅうじ)さん、最後に雪代(ゆきしろ)ゆきなくん」純に続き男性陣の紹介をする。

「どうも、刑事の亀山 亨(かめやま とおる)です。宜しく」

「どうも」男達は野太い声を揃えて、長四郎に挨拶する。

「さ、立ち話もなんですから席についてください」

「あ、そうですね。失礼します」

 剛士を含む6人は席に着いた。

「それで、我々にお聞きしたい事って何ですか?」

 注文を通してから剛士は長四郎に本題を尋ねた。

「殺害された金田さんについてです」

「金田さんですか?」

 一番最初に口を開いたのは、赤座であった。

「ええ、金田さんです。先程、金田さんについて話したとお思いでしょうが出来れば、プライベートな部分でもう少し詳しい事が知りたくて」

「プライベートと言っても僕らもライブの時ぐらいしか知らないので」そう答えたのは、椿。

「僕は時々、飲みに連れてもらっていったり」と川久保が答える。

「私はぁ~ 口説かれてましたぁ~」

 純のその発言に男達の視線が一気に集まる。

「口説かれていた。ということは、OKしたんですか?」

 長四郎がそう問うと、コクリと頷いて答える純。そして、剛士を除く四人は顔を伏せる。

 そこで、長四郎は察した。姫プレイが行われているコミュニティなのだと。

 剛士はそれに参加していないということも、この時点で察した。

「どんな方でした? 勿論、恋人としてですが」

「そうですねぇ~ とっても、優しかったですよぉ~」と前置いてから「あ、でもぉ~ 優しいだけでつまらなかったですぅ~」そう辛辣な言葉を吐く。

「別れたって事ですか?」

「いいえぇ~」

「あ、あの取り敢えず、乾杯しませんか?」

 その間にビールが運び込まれ、気まずい空気をどうにかしようと剛士が乾杯の音頭を取ろうとする。

「そうですね。申し訳なかったです。乾杯しましょう」

 長四郎も剛士の誘いに乗り、乾杯を交わす。

 もうそこから、お通夜みたいなムードで各々好きなものをつまみながらビールを飲む。

 そんな空気の中で、長四郎も根掘り葉掘り聞けるわけもなく只、人間観察するしかなかった。

「あ、あの何か話しませんか?」雪代がここでようやく口を開いた。

「そうだね。今日のライブどうだった?」

 剛士のその一言から、長四郎が話の輪に入れるわけもなく、適当な頃合いを見て先にお会計だけを済ませ店を出た。

 だが、長四郎の中では大きな収穫があったのは間違いなかった。

「ああ、もしもし。ラモちゃん? 頼みがあるんだけど」

 長四郎は店を出てすぐ、ライブ反省会中の燐に電話を掛けるのであった。

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