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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾参話-幻想
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幻想-7

 そして、翌日。

 五反田のライブスタジオに一昨日、参加していた客が集まっていた。

 燐やジャスティのメンバーがSNSで集まるよう呼びかけた結果、事件当夜に居たほぼ全員がこの会場を訪れていた。

「凄いなぁ~」長四郎はアイドルの呼びかけ一つで集められたファンを見て感激してしまう。

「この前はどうも」調査対象の獲濡剛士が長四郎に話しかけてきた。

「あ、どうも」

「貴方もSNSを見て来た口ですか?」

「ええ、まぁ」

「私もです。でも、今日は通常公演だったのに事情聴取公演になるとは思ってもみませんでしたよ」

 そう、本来はジャスティに公演だったのを急遽、金田理毒殺事件の事情聴取を行う公演になったのだ。勿論、事情聴取後に公演は行われるのだが、最初の30分の時間を借りて客の個人情報や被害者との関係を聞くことになった。

「家内になんて言おうかな。多分、今日の公演は押しますよ」と剛士が言った。

「ご結婚されているのですか?」勿論、長四郎はそのことを知っているが、敢えてこの質問をぶつけた。

「はい。結婚して二十数年経ちます」

「奥さんはこの事を内緒にしていらっしゃるのですか?」

「はい。お恥ずかしい話、家内は嫉妬深くて」

「そうですか」と答えながら心の中で「知ってるよ」と呟く長四郎。

「お亡くなりになった方とは、お知り合いだったんですか?」

「え、そうですけど」突然の質問に少し驚いた表情をする剛士。

「ああ、申し遅れました。私、警視庁で刑事をしている亀山 亨と申します」

「刑事さんでしたか。じゃあ、何かの事件であのライブに」

「いえいえ、あれは偶然の事で。それより、金田さんはどういうお方だったんですか?」

 長四郎はここで金田と懇意にしていたであろう剛士から、情報を聞き出そうとしていた。

「そうですね。熱心なファンでした。ライブには欠かさず参加していたようですが」

「貴方は、欠かさず参加されていない?」

「え? まぁ、家庭がありますから。それにコミュニティの中では中心的な存在でもありました」

「コミュニティですか?」

「はい。このグループです」

 無料通話アプリ「ヘロン」で作られたグループを見せてくれた。

「ギルティですか」

 ジャスティとは真逆の名前だな。長四郎はそう思った。

「ええ、メンバーは今日、来てらっしゃいますか?」

「来てますよ。今、刑事さん達に話しているのがメンバーです」

「ありがとうございました」

 長四郎は剛士に礼を言い、聞き込み中の刑事達にマークする相手だと耳打ちして回る。

 30分程の聞き込みの後、ライブは始まった。

 長四郎はライブを見ずに絢巡査長、明野巡査の二人と捜査会議を開始した。

「それで、被害者の金田さんとの心証は悪いものではありませんでした」

 明野巡査がそう報告すると「知ってる」と長四郎は答えた。

「長さん」絢巡査長が素っ気ない反応をする長四郎を窘めた後「続けて」と言った。

「はい。被害者の方がグループで揉めていたというような事はありませんでした」

「で、バーテンはどうだったの?」

「今、任意で一川さんが取り調べています」

 絢巡査長の上司である一川警部が事情聴取をしている事を伝える。

「ふ~ん。バーテンじゃないだろうなぁ~」

「何で、そう思うんです?」明野巡査が質問した。

「だって、接点もない人間を殺すにしてもリスクしかないだろ。犯人が私ですって言っているようなものじゃない? でも、それらしき証拠は出てこないのはおかしいだろ?」

「確かに・・・・・・ でも、バーテンが証拠を隠したという可能性は?」

「う~ん。確かにあるかもしれないなぁ~」

 無責任な奴だなと二人は思った。

「それで、どういう方向で捜査するんですか?」絢巡査長にそう問われた長四郎は少しの間を置き、口を開いた。

「絢ちゃん達は、バーテンを追って。俺はグループの方を追うから」

「分かりました」

 女性刑事二人はそう返事をして、そこで解散となった。

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