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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾参話-幻想
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幻想-1

「夫は浮気してます!!!」

 主婦の獲濡 民代(えぬ たみよ)は、私立探偵の熱海 長四郎(あたみ ちょうしろう)にそう力説した。

「奥さん、落ち着いてください。まだ、そうと決まったわけではないでしょ?」

 長四郎はそう言って宥めようとするが、聞く耳を持とうとしない民代。

 こんな直情型の客を相手にするのは久しぶりの事で、長四郎は少し手間取っていた。

 話は一時間前に遡る。

 長四郎は別件の報告書を作成し終えたその時に、民代が事務所へ訪ねてきた。

 そこから、長四郎は普段通りの応対をしたのだが、ここから民代のターンであった。

 二人の出会いから結婚するまでの経緯、二十数年の結婚生活についてまぁ、長いこと話を聞かれて今に至るのだ。

 半年前まで、夫婦仲は良好だったらしい。が、半年前のある日を境に旦那の態度が急によそよそしくなったような感じがした。最初はそんな違和感からの始まりであった。

 土日の休日は夫婦そろってどこかへ買い物に行くのだが、それも二ヶ月前からなくなり休みになると旦那はいそいそと出掛ける準備をする。

 時には、出張の装いで出掛けるような始末で、民代は不倫相手との旅行ではないかと疑い本人に問い詰めたこともあったが、本人は白を切る始末。

 そこで、探偵を雇い素行調査をしようそう思ったわけだった。

「分かりました。調査します。ですから、泣くのはやめてください」

 長四郎はそう言って、机の上にあるボックスティッシュの箱を民代に手渡す。

「ありがとうございまずぅ~」

 泣きじゃくる民代はティッシュを箱から取り出し、ブゥ~っと鼻を噛む。

「調査は明日からにしますから、旦那さんの勤務先、出勤時間、通勤経路等を教えて頂けますか?」

 鼻を噛み丸めたティッシュで涙を拭く民代は「はい。分かりました」と少し落ち着きを取り戻したのか、そこからは冷静に旦那の必要情報話した。

「ありがとうございました。では、明日の朝から自宅近くで張り込みを開始します。宜しくお願いします」

「こちらこそ」

 民代はそのまま帰っていった。

 長四郎はそこから、撮影機材の準備をして明日に備えた。

 翌日、3月初頭だというのに凍てつく朝であった。

 長四郎は午前4時起きで、最後の準備をして事務所兼自宅を出た。

 民代と亭主が暮らす自宅は品川区のマンションであった。五反田にある事務所から然程離れた距離ではなかったが怪しまれずそして、亭主を撮影できる場所を確保する為に早めの現地調査をする為にこんな朝早くから行動していた。

 そして、程よい場所が見つかり長四郎はホット缶コーヒーで暖を取りながら亭主がマンションから出てくるのを待った。

 午前7時30分、マンションから亭主である獲濡 剛士(えぬ たけし)が出てきた。

「剛士君のご登場ぉ~」

 長四郎はかじかむ手を奮い立たせ、一眼レフカメラのシャッターを切る。

「尾行開始ぃ~」

 駅へ向かう剛士を尾行する長四郎は、満員電車の山手線に揺られ池袋へと行きついた。

 剛士の勤務先は駅から出てすぐのサンシャイン通りにある不動産会社であった。剛士は不動産会社の部長の役職に付いているという。

 だが、会社に最初に出勤したのは剛士で、一人、開店の準備をし始める。長四郎はその光景も写真に収めた。二十分後、部下であろう女性が出社してきた。

 笑顔で挨拶を交わす剛士に、この人は他人に対しても分け隔てなく優しく接することのできる人間なのではないか。長四郎はそう思った。

 会社近くで張り込んで、その日は終えた。会社で怪しい動きは見られなく、長四郎は会社を出てからが勝負だな。そう思っていた。

 そして、その予感は的中することとなった。定時退社した剛士が向かったのは秋葉原にある劇場であった。

 そこで、長四郎は知ったのだ。剛士が地下アイドルにのめり込んでいることに・・・・・・・

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