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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-35

「で、北条恒には行きつけないの?」

 長四郎から事の顛末を聞いた金田一はそう告げた。

「難しいんじゃない。それより、どうなんだよ? トォォルンの方は?」

「お前さんが工場と販売ルートを潰したおかげでピタッと止んだ。とはいえないな。在庫があるみたいで売り捌かれているのが現状だ。だが、昔と違って希少価値が出て値上がりはしてる」

「ま、そんな所だろうな。今回は助かった。ありがとう」

 長四郎はジャケットの内ポケットから封筒を取り出して、金田一に手渡す。

「遠慮なく頂こう」金田一はそう言って、受け取り中身を確認する。

 そこには、栄一君が10人近く入っていた。

「じゃ、またな」

 長四郎はその場を去っていった。


「班長! どうして、捜査を中止にしないといけないんですか!?」

 明野巡査が上司の佐藤田警部補に不服申し立てする。

「明野が怒るのも無理ないけど。仕方ないだろ? これ以上、騒ぎ立てたら上が処分するって言うんだから。それにな、今回の首謀者である宮沢には必ず実刑を与えるっていうはなしだから良いじゃない?」

 ここまで、何をしていたのか分からない佐藤田警部補は明野巡査を宥める。

「泉。落ち着けよ。それより、班長は北条何某の何を調べてたんですか?」

「薬の流通系統じゃないの!?」

 遊原巡査の発言に初耳だ! みたいな反応をして見せる明野巡査。

「うん。何にも分からなかった」と答えたが、北条恒を追い込むだけの物証が得られなかったのだ。佐藤田警部補は、長四郎達が頑張っている裏で北条恒にマークし、薬の販売に関わっている事実だけは掴んでいた。

 だが、これを言うと、若い刑事二人は何をするのか分からないので敢えて言わなかった。

 そんな部下二人はそれからずぅ~っと、質問と小言を聞かされることになるのだった。


「それでね、東大で薬の研究しているから麻薬を作るのなんてお手の物よ」

 燐は自身が得た事件の話を担任の生田成美に話をしていた。

「凄い事件だったんだね・・・・・・」

「何、少し引いてるの? 生美ちゃんが調べてこいっていうから、調べてきたのに・・・・・・」

「うん、そうだけど・・・・・・」

「そういや、倒れた子どうなったの?」

「一命は取り留めて、リハビリに励んでいるって聞いたよ」

「そうなんだ」

 そこから二人にの間に沈黙が流れ始める。

「あ、そうだ。燐ちゃん。進路相談の紙、提出してね」

「今、言う? それ?」

「言うよ。大事なことなんだから」

「分かった。後で出しに行きまぁ~す」

 燐はそう告げその場から去っていった。


 そして、長四郎に依頼を出した大島千尋は逮捕されその道連れに清栄本部長も同様に逮捕された。

 が、肝心の北条恒には及ばなかったが、山戸霧子は事件後、長四郎にこう告げた。

「奴がこのままで終わるわけではないと思いますので、また手助けしてください」

 そう言われた長四郎の答えは、「お断りします」と答えた。

 その北条恒はというと・・・・・・

「私立探偵の熱海長四郎とその助手、羅猛燐か・・・・・・」

 そう壁に張られた二人の写真目掛けて、ナイフを投げる。

 見事なナイフ裁きで、二人の顔にナイフが刺さる。

 付き添う秘書が「お見事」と言葉を出す。

「おう。鈴木はバラせ」

「かしこまりました」

「それとな、薬はほとぼりが冷めたらまた売れや。今度は厚労省を取り込めええな」

「はい」

 北条はナイフで潰れた長四郎と燐の顔を見ながら、ウケケケっ気味の悪い笑い声を出すのだった。


  完

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