表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
644/758

隠密-29

 燐が怒りに燃えている頃、長四郎はというと・・・・・・

「司法解剖の結果なんですけどね。心臓に一発で即死だったみたいです」

 そう遊原巡査から鈴木の司法解剖の結果を聞いていた。

「ふ~ん。じゃあ、相当な手練れか」

「って、事になりますね」

「そういや、泉ちゃんは?」

「ああ、あいつなら女子高生が心配とかでむやみに探しているはずですよ」

「なんか、迷惑かけてごめん」

「いや、探偵さんが謝ることじゃないですよ。それにあいつも女子高生と似て短気な所ありますから」

「そう言って頂けると助かる」

「それで、鈴木殺しの犯人の目星着きましたか?」

「それなんだけど。これ、昨日、泉ちゃんが持っていたピンバッジ。これの出所が分かった」

 長四郎は明野巡査から渡してもらったピンバッジを遊原巡査に見せる。

「何処なんです?」

「厚労省」

「って事は、順当に考えれば」

「麻薬取締部だろうな」

「あの中の誰かが犯人だっていう事ですか?」

「というより、トォォルンに関わっているであろう人間だな」

「今の中で行けば、清栄本部長に、探偵さんに依頼を出した大島千尋、そして、行方しれずの山戸霧子の三人か」

「そうなるよね」

「この中で、最も怪しいのは清栄本部長って事になるんですかね?」

「そうなるとは思うけど。けどなぁ~」

「何かが引っかかっているんですよね」遊原巡査にそう問われた長四郎はコクリと頷いた。

「その何が引っかかって居るのかを確かめに行こう」

「分かりました」

 男二人は、大島の元へと向かった。

大島は長四郎の依頼で休暇を取っていた。

 そして、彼女は今、帝国ホテルの一室にその身を置いていた。

 長四郎が大島の部屋のドアをノックすると、部屋着姿の大島が出てきた。

「どうもぉ~」

 手を振って、挨拶する長四郎。

「どうも」そう言って、遊原巡査、長四郎を部屋に招き入れる。

 部屋に入ると、二人分のティーカップが机の上に置かれていた。が、長四郎は敢えてその事については聞かなかった。

「で、どうですか? その後」大島が成果を聞いてきた。

「工場は潰しましたよ。なぁ?」

「はい」遊原巡査は長四郎の問いかけに頷いて答える。

「工場潰したんですか?」

「ええ、何か問題でも?」

「いえ、凄い行動力だなと思いましてね」

「褒められて良かったね。遊原君!」

「そうですね」と素っ気ない返事をする遊原巡査。

「それで、ここの暮らしはどうです?」

「とても快適です」

「それは良かった」

「そうじゃないですよね。今日は鈴木がここに来たのかを確認しに来たんじゃないんですか?」

「残念だけど、鈴木は殺されました」

「そんな・・・・・・ どうするんですか? これから」

「それをね、相談しに来たんですよ。工場の奴らは絶賛取り調べ中でしてね」

「今の私に何が出来ると?」

「山戸霧子さん。あの人の行方は掴めました?」

「いいえ」

「そうですよねぇ~ 僕も掴めてないんですよ」

「そうですか。私も心配しているんです」

「心配。心配ねぇ~」

 長四郎は含みのある言い方をする。

「何ですか? さっきから」

「いえ、分かりました。今日の所は退散します」

「帰ろう。遊原君」

「はい」

「本当に何しに来たんですか?」

「何しに来たんだってけ?」

 長四郎は遂にボケ爺さんみたいな事を言い始めた。

「ま、いいじゃないですか! 行きましょう。探偵さん」

 遊原巡査にそう背中を押されながら長四郎は部屋を出た。

「見ました?」

 エレベーターを待っている時、遊原巡査は長四郎に話しかけた。

「ああ、見た。接触したみたいだな。山戸霧子と」

 部屋に置かれていたティーカップがそれを物語っていた。

「そうみたいですね。これから、どうします?」

「そうねぇ~ 帰りながら考える」

「了解です!」

 遊原巡査はそう答えて、エレベーターに乗り込むのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ