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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-28

 程なしくして、鑑識などの応援要請を受けた捜査員で現場は賑やかになった。

「探偵さん。あの人を殺したのは誰なんでしょう?」明野巡査が質問した。

「順当に考えれば、宮沢だろうけど」

「例の書生ね」燐がそう言うと、長四郎はうんと頷いた。

「でも、本人が直接手を下すとは思いませんけどね」遊原巡査がそう言った。

「遊原君。良い事言うね。俺も同じ事を思っていた。失敗したエージェントを抹殺するのにわざわざ自分の手を汚すのかってな」

「組織として成り立っているなら、そういうことを担当する人が居てもよさそうですよね」

「泉ちゃんも良いこと言った」長四郎が明野巡査を褒めると「ありがとうございます」明野巡査は少し嬉しそうにする。

 燐も負けじと「殺し屋がやったんじゃない」そう発言した。

「そんな事はこの場に居る人間が全員思ってるって」と長四郎に一蹴される。

「ああ、そう、これが事件解決の糸口になるかもしれないのに」

 燐は先程拾ったピンバッジを投げ捨てようとする。

「ちょちょ」明野巡査がすぐに止めに掛かり、燐の手からピンバッジを回収した。

「何それ?」

「これ、死体の近くに落ちてたんですよ」

「泉ちゃんが見つけたのを私が拾ったの」

「泉ちゃん。でかした」また明野巡査が褒められるので、、燐は面白くなかった。

「ありがとうございます。このピンバッジを追って行けば犯人に繋がるかと思うんですが。どう思います? 探偵さん」

「泉ちゃんの言う通りだと思うよ。でも、気を付けて動かないと」

「鈴木の二の舞になる」

「遊原くんの言う通り。あれ、ラモちゃんは?」

 姿を消した燐に気づいた長四郎が辺りを見回すが燐の姿はなかった。

「あいつ、勝手な事しなきゃ良いけどなぁ~」

 その長四郎の言葉は当たっていた。

 翌日から燐は一人で捜査を開始した。

 燐はピンバッジが事件解決の糸口であると考え、家に帰ってから記憶しているピンバッジのデザインをネット検索の結果と照らし合わせ、該当のピンバッジを見つけ出した。

 そのバッジは厚労省の職員が身につけるバッジであった。

 燐はそこで、ピンっと来るものに従い厚労省麻薬取締部を訪れた。

「すいません。清栄本部長さんはいらっしゃいますか?」

 燐は受付担当の職員にそう声を掛けた。

「失礼ですが、アポイントメントはお取りになられたのでしょうか?」

「いえ、アポは取ってないんですけど。急用でして」

「急用。あのお名前をお聞きしても?」

 燐は咄嗟に「警視庁の明野と申します」と明野巡査の名前を出した。

「警視庁の明野様ですね。少々お待ちください」

 職員は内線で清栄に確認を取る。

「大変申し訳ございません。清栄は席を外しております。何か伝言を?」

「いえ、結構です」

 燐はそう告げ、足早に去ろうとしたがその足を止め職員にこう言った。

「大島さんはいらっしゃいますでしょうか?」

「はい。確認致します」すぐに結果が出た。

「大島は二日前から休暇を取っております」

「休暇ですか。分かりました。ありがとうございました」

 礼を述べた燐は、麻薬取締部を後にした。

「どういう事だろう」

 地下駐車場に向かいながら考えていると、見知らぬ番号から着信が入る。

「はい。もしもし?」

「羅猛燐だな」電話の向こうに居るのは男であった。しかも、ボイスチェンジャーを使って喋っている。

「だったら何?」

「何じゃないだろ? 良いか。忠告は一回だけだ。この件から手を引け。そう相棒の探偵にも伝えておけ」

 それだけ言うと、通話は切れた。

「何? 今ので、脅したつもりなのかね?」

 地下駐車場に着き、乗ってきたバイクを見るとでかでかとスプレーで落書きされていた。

「やってくれたな! 見てろよぉ~」

 これが燐の逆鱗に触れ、燐は絶対に捕まえてやるというエネルギーをたぎらせるのであった。

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