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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-25

 長四郎の言う通り、佐藤田警部補が銃の取り扱い申請をされておりすぐに拳銃が貸与された命捜班の若い刑事二人は武器を携えて横浜に戻った。

 そして、決行の時間となる夜となった。

「探偵さん。燐ちゃんが居ませんけど?」

 昼間あんなにごねていた燐の姿がない事に明野巡査は質問した。

「良いの。良いの。ラモちゃんにはお似合いの仕事があるから、今は居ないだけ」

「そうですか」

「探偵さん。俺からも?」と遊原巡査が質問を求める。

「何?」

「このことは、マフィアさん達には?」

「ごく一部の人しか知らない。それも上の方達限定ね。それがどうしたのよ?」

「いや、何でも」

 遊原巡査は相手がこちらより多い事は明白なので、マフィアの手も借りたいそう思っていたのだ。明野巡査も言葉には出さなかったが、同じ事を考えていた。

「じゃ、行きますか!」

「探偵さん。丸腰で行く気ですか?」

「え? そんな訳ないじゃない」

「いや、でも・・・・・・」

 明野巡査は、長四郎が武器を携帯せずにアジトに突入しようとしているので、どう言って止めようか考えていると遊原巡査が口を挟んだ。

「泉。それ気にしたら先に進めないから、行くぞ」

「で、でもぉ~」

「でもじゃないよ。大丈夫、おふたりさんに迷惑はかけないから」

 長四郎と遊原巡査は、うんと頷き合うと行動を開始した。

 隠れ家の真向かいにあるトォォルン製造工場だが、工場とはいうものの建物としては一軒のビル。そこで、正攻法の入り方はせず、隣りの空きビルを利用するのが長四郎の作戦第一段階であった。

「このビルをマフィアに買い取ってもらったの」

 長四郎はそう言って、二人をビル内へと案内する。

「しれっと、言ってますけど。犯罪組織と手を組むのは少し」

「気が引けるって言いたいんだろ。泉ちゃん、分かってるって。さ、取り敢えず、エレベーターに乗って乗って」手招きする長四郎に言われるがままエレベーターに乗り込む明野巡査と遊原巡査。

 三人を乗せたエレベーターは屋上へ通ずる3階へと上がっていく。

「まさかとは思いますけど、屋上から侵入する気じゃないでしょ?」

「遊原くん、勘が鋭いね。その通り、屋上から侵入する」

「いやいや」急に顔が青ざめる遊原巡査。

「祐希。もしかして、高所恐怖症?」

 明野巡査の言葉にうんうんと頷いて答える遊原巡査。

「大丈夫だよ。消防士がやる綱渡りをするだけだから」

「そういう問題じゃないです!」

「泉ちゃんは・・・・・・」

 長四郎は明野巡査の服装を確認する。明野巡査はパンツスーツ姿であった。スカートであれば男二人で乗り込むことになっていたので、長四郎は安心した。

 が、急に自分の脚を見られた明野巡査は「な、何ですか?」と恥ずかしさと長四郎のスケベ心に対する怒りの顔をする。

「何でもないよ」

「やらしい」

「え? なんで?」長四郎は意味が分からず首を傾げると3階に着いた。

 エレベーターを降りると三人を待っていたであろう中国人が片言の日本語で「オマチシテオリマシタ」と三人を出迎えた。

「ああ、二人に紹介する。この人は、今回の作戦に協力してくれる(ワン)さん」

 長四郎が湾を紹介すると二人は声を揃えて「宜しくお願いします」と挨拶する。

「ジュンビハデキテマス」

「ありがとう」

 長四郎は礼を言いながら屋上に出る。

 既に向かいのビルに向かってロープが張られていた。

「手際が良いね」

 長四郎はそう言いながら早速、ハーネスを付け始める。

「アリガトウ。フタリハツケカタワカリマスカ?」

「いや、分からないです」明野巡査は即答した。

「デハ、オシエマス」

 二人は湾のレクチャーを受け、ハーネスを装着した。

「コレデ、ダイジョウブ」湾は二人のハーネスをグッと引っ張り外れないことを確認した。

「湾さん。ごめんなんだけど、彼、高い所苦手なんだって。もしもの時は」

 長四郎の言うもしもに腰が抜けそうになる遊原巡査に湾は「マカセテ。アナタモ、アンシンシテワタルガヨロシ」と励ましの言葉を送ってもらうのであった。

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