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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-23

「佐藤田さん、あいつは拉致されたんですか?」

 燐は長四郎の行方を知っているであろう佐藤田警部補にそのことを質問した。

「最初に探偵さんは拉致されてないよ」

「良かったぁ~」燐は安堵する。

「班長。探偵さんはこの北条とかいう爺さんを追っているんですか?」

「遊原、惜しいな。探偵さんはこの北条に命を狙われているんだ」

「それは大事ですね」

「そうなの。大事なの」

 友著な会話をする男二人に、女性陣は少し緊張感を持てよと思うのだった。

 佐藤田警部補から長四郎の居場所を聞いた燐達は、その場所へと向かった。

 長四郎が今居るのは、東京ではなかった。横浜の中華街にある店の二階にその身を置いていた。

「ありがとうございます」

 燐は案内してくれた中国人店員に礼を言い、長四郎が居るという部屋のドアを開けた。

「長四郎、居るぅ~」燐は部屋に入りながら、そう声を掛ける。

「居ります。居ります」

 長四郎は窓からの景色を楽しみながら、手を挙げて答える。

「何が見えるの?」燐がそう聞くと「向かいの建物」とだけ答える。

「向かいの建物に何かあるんですか?」

「何もないよ。泉ちゃん」

「何もないのに、探偵さんが見るとは思えないんですけどね」

「遊原君、鋭いとこつくね。その通り。これで、見てみ」

 長四郎は双眼鏡を遊原巡査に渡した。

「お借りします」

 遊原巡査はすぐに双眼鏡を使って長四郎の視線の先にあるものを見た。

「噓だろ?」

「私にも見せて」遊原巡査の手から双眼鏡をひったくった明野巡査が先にあるものを確認した。

「うっそぉ~」

「私にも見せて」今度は燐が見た。

「マジでか!?」

 二人と同様の反応をして見せる燐。

 何故、三人が驚くのか。その理由は、窓の向こうのビルでトォォルンと思われる薬の製造が行われているからだ。白昼堂々と作っているので三人は何も言えなくなる。

「あそこはさ、チャイニーズマフィアから奪った場所らしくてな。You達を案内してくれた人。あの人、マフィアだから」

「え!?」三人は声を揃えて驚いた反応をする。

「呉越同舟ってことわざ知らない?」

「敵同士が同じ目的の為に手を結ぶことでしょ?」と燐が答えた。

「分かっているんなら、聞かないで」

「いや、そこじゃないでしょ。なんで、中国マフィアと手を組むってことになるの?」

「なんでだろうねぇ~ 俺に聞かないで。こことの協力関係に関しては佐藤田さんが取り付けたものだから」

 中国マフィアと手を結ぶ佐藤田警部補の手腕に驚いて何も言えなくなる命捜班の二人。

「で、あそこに殴り込みに行くの?」

「どうして、そう野蛮な事を思いつくのかね?」

「野蛮じゃないし」

「でも、私たちは協力できないかも・・・・・・」

「何、弱気な事言っているの。泉ちゃん」

「いや、でも・・・・・・」

「ラモちゃん。俺たちは警視庁の警官だから、そう簡単には動けないんだよ」

 警察とは意外とセクト主義なところがあり、よその県の警察と連携するためには面倒くさい手続きを踏まなければならず、時間もかかる。ということを遊原巡査は燐に言いたかったが、警察の内情をペラペラと喋るという気になれず、察してくれみたいな顔になる。

「セクト主義なのは知っているけど、どうするの?」

 燐は吞気に構えている長四郎に発破をかけるように揺さぶりながら、問うた。

「万全の準備が出来上がるまでの辛抱だ」

「そんなの待てないよ!」

「待てないなら、この件から降りろ」

「どうしてそう、極端な訳?」

「極端じゃない。佐藤田さんからこの事件の首謀者の話、聞いたろ?」

「聞いたけど。それが何? 相手はジジィじゃない! 勝てるよ」

「これだから、単純な生き物は困るなぁ~」

「どういう意味よ!」

「良いか? 今度の相手はジジィだけじゃないの。ジジィを取り巻く人間も片づけない事には俺たちに勝ち目はないの。分かったら、少し大人しくして。泉ちゃんと遊原君もね」

 腰抜けっ! 燐はそう言いそうになるのをグッと堪えて我慢することにした。

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