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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-21

 北条邸に着いた頃、空は夕焼けに染まる時間になっていた。

「少し遊びすぎたか・・・・・・」

 長四郎がここに来るまで、少し寄り道をしてからの北条邸への訪問であった。

「さぁ~て、どっから突っつこうか・・・・・・」

 忍びこむという事はせずにして、どう鈴木の取引相手に接触しようかそう考えていると一台のリムジンが屋敷に入ろうとする。

 どうやら、この屋敷の当主、北条恒を乗せた車である事がすぐに分かった。

 すると、北条の席のパワーウィンドウが開き、ぬっと、人間の顔が出てきた。

「内に御用ですか?」

 そう長四郎に声を掛けてきたのは、鈴木と接触していた例の高級スーツを身にまとった男であった。

「ええ、まぁ。あ、申し遅れました。私、フリーの記者をしております。水谷と申します」

 長四郎は偽名の名刺を渡した。

「それで、フリーの記者さんがどのような御用件でしょうか?」

 男は車を降車して、長四郎の用件を伺う。

「実は、この男性をご存知ではないでしょうか?」長四郎は鈴木兼近の写真を見せる。

「さぁ?」ととぼけて見せる男。

「失礼しました。まだ、お名前をお伺いしていませんでしたね」

「あ、こちらこそ、申し遅れました。この屋敷で書生として生活をさせて頂いております。宮沢 学(みやざわ がく)と申します」

「書生さんでしたか。今のご時世には珍しい」

「はい。北条には良くしてもらっております」

 宮沢は北条恒から学費の援助をしてもらいながら、東京大学の大学院で研究をしている事を長四郎に話した。

「何度も聞き返すようで申し訳ございません。本当に見覚えがありませんか?」

「さぁ? ありませんね」

 長四郎はここで、鈴木と帝国ホテルで接触している時の写真を見せると、宮沢は目を見開いて驚いた顔をする。

「お答えできませんか?」

「彼は、高校生時代の先輩なんです。急に呼び出されたので、驚きましたが」

「ほぉ、先輩でしたか。では、久しぶりの再会であったというわけですね?」

「はい。そうです」

 長四郎は白を切る宮沢に次の質問をした。

「北条さんは、今は何をなさっているのでしょうか?」

「隠居ですよ。今日みたいに偶に出かけるのですが」

「そうですか。ありがとうございました」

 長四郎は、こいつはどんなに聞いても、白を切り通すだろうと思いここで切り上げることにした。

 そして、宮沢の身辺調査をすることにした。北条恒の方は佐藤田警部補が担当しているので長四郎はそちらの調査に専念しようと決め帰路についていると、一台のワンボックスカーが長四郎の目の前へ急に飛び出してきた。

「WAO!!! ベタな展開」

 長四郎が言うや否や、車から覆面の男達が降車してきた。

「お兄さん。今やっている取材を辞めてもらおうか?」

「辞める? なんで?」

「痛い目見るからだよ!!」

 真向かいの男がそう言うと、長四郎に男たちが襲い掛かってきた。

 長四郎は軽い身のこなしで襲い掛かる敵を躱しながら、男たちから逃げようとする。

「逃げるんじゃねぇ!!」一人が長四郎の首根っこを掴み離そうとしないので、長四郎は「辞めます。辞めます」と噓方便をつく。

「信用できるか!!」

「なら、仕方ない」

 長四郎は懐から棒を取り出してパチンっと音を立ててブーメランに変形させると、それを適当に投げる。ブーメランは長四郎に帰ってくるように飛び首根っこを掴む男の顔に当たる。

「ぎゃっ!!」男は顔から血を流しながら、倒れこむ。

「痛かったねぇ~ んじゃ、バイチャ!!」

 長四郎はギャグマンガ日和の西遊記~旅の終わり~に出てくる三蔵法師の形相でその場から逃げるのであった。

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