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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-20

 翌日、長四郎は燐と明野巡査、遊原巡査を連れて鈴木兼近の自宅へと訪ねた。

 鈴木は素直に四人を受け入れた。その様子から俺は絶対に捕まらない。そういった感情が見え見えな感じの態度であった。

「で、私が覚醒剤のシンジケートであると?」グラスにウィスキーを注ぎながら、鈴木は四人に問いかけた。

「我々はそう考えています」遊原巡査がそう答えると、鈴木は鼻で笑う。

「いきなり、警察が来てあんたは麻薬流通のシンジケートだ。そう言われてもなぁ~」

 ウィスキーをグッと飲み干した鈴木は、「これから私用がありますので、、お引き取りを」そう四人に告げた後に「ああ、もし宜しければ、そのシンジケートの捜査のお手伝いをしましょうか?」とまで言われる始末。

 正直言って、こいつは好きになれないタイプだ。四人は同じ事を思いながら、その場を去ることにした。

「ね、あいつの態度どう思った?」燐が出てすぐに三人に聞いた。

「キザな奴と思った」と遊原巡査。

「あ、私もそれ、思った。私的には、ウザイ奴だなって思ったかな。後、あいつ、絶対関わっている」と明野巡査が言う。

「あんたは?」口を開かない長四郎の意見を聞く燐。

「うん? 二人の言う事と同じかな?」

 長四郎がそう言うと、燐は「あんた、何か隠してるでしょ?」そう言った。

 燐はサザエさん方式とはいえ、長四郎との付き合いは長いと自負しているつもりだ。

 長四郎がこのような事を言う時は何かを隠している時だ。そう思うからの発言であった。

「隠してなんかないよ」

「白を切っちゃってからに」

「そうなの?」明野巡査が質問すると「さぁ、どうでしょうねぇ~」と長四郎は杉下右京風な口調でとぼける。

「そうだよ。モノマネとかする時は特にそう。あんた一体、何を隠しているの? マジで」

「分かったよ」と長四郎は折れた。

「で、何を隠しているんですか?」と遊原巡査が質問した。

「俺は、正直に言いたいんだよ。言いたいんだけど、君たちの上司である佐藤田さんに口止めされてるのよ」

「班長に? なんで?」

「俺が知るかよ」遊原巡査は明野巡査の問いに困惑気味に答える。

「てか、あの人何してるの?」燐はごもっともな意見を述べる。

「俺たちのバックアップみたいな事をしているよ」

 何故、部下の自分達もよりこの私立探偵の方が上司の事を知っているのか。明野巡査と遊原巡査は少し不満に思うのだった。

 鈴木に直接コンタクトした後、四人が向かったのは渋谷区の所轄署だ。

 燐達が先日、捕まえた男たちの取り調べが行われているので、そこから組織の構図をあぶりだそうという燐の提案を受け入れての行動であった。

「知らねぇよ」

 マジックミラーの向こうにいる半グレは刑事の問いに答えた。

「お前が薬の密売をしたというネタは上がっているんだ! 白を切っても徳はないぞ!!」

 飴と鞭の使いかたが下手だな。新米の刑事ながら話を聞いている明野巡査はそう思った。

「そうか。では、どこから薬を入手したんだ。他の連中はお前が仕入れ担当だと供述しているんだぞ」

「チッ」と舌打ちしてから答え始めた。

「そうだよ。俺が仕入れていた。だけど、仕入れ相手の事はよく知らねぇんだよ。本当だ。信じてくれよ!!」

「じゃあ、仕入れ相手はどんな人間なのか? それぐらい答えられるだろう」

「若い。若いスーツを着た男だ」

「名前は?」

「知らない」

「何歳だ」

「知らない」

「どこから薬物を入手した?」

「だから、俺は何も知らねぇんだ!!」

「そんな知らない相手から薬を買うのか?」

「ああ、買うよ。安くで買える薬だから・・・・・・」

「幾らだ」

「㎏で1万円。但し、売るのも安価で売る事が条件だけど」

「幾らで売っていたんだ?」

「大体50gで、千円って感じで」

 ここまで話を聞いていた長四郎は、バックヤードから取り調べ室へと入っていく。

「なぁ、君の取引相手はこいつ?」長四郎は鈴木の写真を見せると「ああ、こいつ」と答えた。

「ありがとう。じゃ、お邪魔しました!」

 長四郎は刑事にそう告げ、燐達をバックヤードに置いて一人、北条邸へと向かった。

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