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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-19

 鈴木と接触した高級スーツを身にまとった男は世田谷区にある一軒の大屋敷へと入っていった。

「北条・・・・・・」

 表札に書かれた名前を写真に収めた長四郎はそのまま帰宅した。

 事務所に帰ると灯りがついており、燐がいることが分かった。

「お疲れぇ~」

 長四郎はそう言いながら扉を開けると、燐と明野巡査そして、山戸霧子こと大島 千寿(おおしま ちず)が楽しく談笑していた。

「あ、お帰りぃ~」燐はそう言って、出迎えた。

「人の事務所で女子会すな」

「ごめんなさい」明野巡査が真っ先に謝罪し、それに続いて大島が「すいません」と謝罪した。

「で、どういう理由で依頼人さんがいらっしゃるんでしょうか?」長四郎は大島に尋ねた。

「守秘義務はどうしたの?」燐が嫌味ったらしく聞いてきた。

「守秘義務の必要はないでしょ。当の本人がここにいらっしゃるんだから」

「そう言われると少し心外ですね」と苦言を呈す大島。

「偽名を使って依頼を持ち込んでくる貴方に言われる覚えはないですけどね」

 作業デスクの椅子にドカッと座る長四郎は、話を続ける。

「それで、本当の山戸霧子さんは今どこに?」

「気づいていたんですか?」

「というより、今日で確信しました。北条っていう若者は何者ですか?」

 その長四郎の質問に大島は目を見開いて驚いた顔をした。

「そこまで、調べたんですか?」質問に質問で返す大島に長四郎は「調べてたら行きついたっていうだけです。で、本物の山戸霧子さんは今、どこに?」と再度質問した。

「彼女は謹慎処分を受けた後、行方知れずとなってしまいました」

「え!?」

「うそ!?」

 燐と明野巡査は口々に驚いた反応をして見せる。

「そこで、一番怪しいのが、北条と鈴木兼近で。かつ調べやすい鈴木兼近から探って山戸霧子に辿り着こうとしたわけでしょ?」

「はい。そうです」

「あの、山戸霧子さんの捜索願は出されたのでしょうか?」警察官である明野巡査が質問すると「清栄に止められました」と答えた。

「あのおっさん、何考えているんだろ?」燐は腕を組んで考え始める。

「それよりも気になるのは、北条が何者なのか? だろ?」

「で、何者なんです?」明野巡査がそう聞くと「正直言って、私もよく分かっていないんです。霧子が調べていた中にその北条という名前が出てくるだけで詳しいことは」大島はそう答えた。

「一つ良いですか? なんで、山戸霧子さんが調べていた内容が分かるんですか?」今度は燐が質問した。

「捜査記録があるんです。彼女が残した」

「それって今、どこにあるんですか?」

「泉ちゃん。それ聞いちゃダメだよ」と長四郎が言う。

「何で、ですか? 一番大事な事じゃないですか?」

「それ言っちゃうと、敵に取られるフラグでしょ? 捜査記録を」

「確かにぃ~」燐は納得したような反応をする。

「燐ちゃん。納得しないで」

「え~ なんでぇ~」

「お二人さんの議論はともかくとして、捜査記録のコピーだけでももらえないでしょうかね。大島さん」長四郎は手を合わせて懇願する。

「分かりました。用意します」

「よしっ、これで盗まれるフラグは回避できた」長四郎は安堵した表情を見せた。

「何がフラグだよ」

「ラモちゃん、そういうのが意外と大事なのよ」

「何が大事よ。泉ちゃん、帰ろう。大島さんも」

「あ、うん」

「はい。探偵さん、宜しくお願いします」

 大島は頭を下げて長四郎にお願いをする。

「全力を尽くします」長四郎はそう答えると、女子三人は事務所を出ていった。

 長四郎はスマホを取り出し、電話をかけ始める。

「もしもし、佐藤田さんですか? 実は二、三お聞きしたいことがございまして・・・・・・」

 悪党みたいな顔になる長四郎であった。

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