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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-18

 一人捜査に向かった長四郎は、六本木ヒルズに来ていた。そう、昨日、尾行した鈴木兼近の調査を行う為である。

 正午を過ぎ、夜型の人間が起き出した頃の時間であるだろうと踏み、こうして六本木ヒルズへと来たのだ。だが、ここからは長丁場になるな。長四郎はそう思っていると、目の前にレジ袋が差し出された。

「どぉ?」行方知れずであった佐藤田警部補が姿を現した。

「どうも。よくここが分かりましたね」

「うん、まぁ」と曖昧な答えをする佐藤田警部補に長四郎は敢えて、追撃の質問はしなかった。聞いてもはぐらかされそうだったから。

「で、どぉ?」

「ラモちゃんと泉ちゃんが末端の構成員達を捕まえましたよ」

「ほぉ~」

「そんで、麻薬取締部に行きました。そこで、内通者って呼ばれる人間と接触しました」

「内通者って?」

「早い話が、トォォルンの捜査を妨害している本部長さんですよ」

「本部長かぁ~」

「全く、この国にはほとほと愛想が尽きますよ」

「探偵さんもそういう事言うんだ」

「言いますよ。人間ですから」

「そうか・・・・・・」

「佐藤田さんの方は?」

「ま、色々とね。あ、多分ね。彼は今日、帝国ホテルに向かうはずだよ。じゃ」

 佐藤田警部補はそれだけ告げると去っていった。

「行ったか・・・・・・」長四郎は早速の差し入れを確認した。

 中には缶コーヒーとあんパン、ジャムパン、使い捨てカイロが入っていた。

「助かるなぁ~」長四郎は使い捨てカイロの風を開けて暖を取り始める。

「はいっ、これ!」またレジ袋が目の前に差し出された。

「付いて来たのか?」長四郎は呆れたといった顔で燐を見る。

「えへへ」

「えへへじゃねぇよ。良いか、邪魔するなよ」

「へい、お頭」

 燐の軽い返事をし、長四郎は深いため息をつくのだった。

 それからすぐに鈴木はマンションから出てきた。タクシーを拾い佐藤田警部補の言っていた帝国ホテルへと向かった。

 長四郎達は少し遅れてからタクシーを拾い、後を追った。

「ね、なんで帝国ホテルに向かうって分かるの?」

 運転手に行き先を告げてすぐに燐は質問した。

「優秀な刑事が教えてくれた」

「優秀な刑事? 誰、それ?」

 燐は思い当たる節はなく、う~んと考えこむのであった。

 長四郎達を乗せたタクシーは帝国ホテルに到着した。燐がキャッシュレスで支払いを済ませ、二人はそそくさとタクシーを降車しホテルへと入る。

「ねぇ、ここのどこに居るのか、聞いてないの?」

「多分、こっちだ」

 長四郎はそう言って、ホテルにあるラウンジへと向かって歩き出し燐もそれに続いて行く。

 ラウンジに入ると、鈴木の姿が確認できた。店員に案内された席に座る長四郎と燐。

 そこそこ離れた所に座る事ができたので、長四郎は少し安堵した。

 オーバーなリアクションをする燐が悪目立ちしても上手いこと誤魔化せそうだからだ。

「ここに居るって、分かったの?」

「これから人と会うはずだから、時間を考えた」 

「時間?」

「今の時間は?」

「16時ちょっと過ぎたぐらい」燐はスマホで時間を確認する。

「だろ? 晩飯には少し早いし、ホテルの一室で会うっていうのは結構目立つのよ。会う相手が女性だとな」

「女なの?」

「仮定の話。ラモちゃん、ホテルの一室で、男女が密会するって聞くとどうイメージする?」

「不倫かなぁ~」

「そうだろ。でも、こういうラウンジで会うってなるとどう思う?」

「ビジネスかな? グレードの高いホテルだし」

「そうでしょ。それに見てみろ、奴さんの服装」

 長四郎にそう言われた燐は鈴木に目を向けると、鈴木はスーツを身にまとっていた。

「スーツだ」

「そ。だから、これからくる相手は奴のビジネス相手の可能性が高い」

「あ、誰か来た」

 鈴木の席に向かって行く高級スーツを身にまとった長四郎と年の雰囲気は変わらない男性がいた。

「あの男だろうな」

 長四郎はさり気ない感じで、男にカメラを向け写真を撮った。男は鈴木の真向かいの席に着き少し話してからそのまま店を出ていった。

「ラモちゃんは、鈴木を。俺はあの高級スーツを追うから」

 長四郎はここの会計を燐に任せて、鈴木に接触してきた男の追跡を開始した。

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