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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-13

 ダーツに興じること、一時間五十分が経過した。二時間コースの終わりが近づき長四郎と金田一は帰る準備をしていた。

「久々にやったら、楽しいな。ダーツ」長四郎はニコニコ笑顔で金田一にそう言った。

「全く、事件の捜査をしている人間の台詞とは思えないな」

「良いんだよ。息抜き、息抜き」

「息抜きね」

「なんだよ。その含みある言い方は?」

「いや、昔と変わらんな。そう思っただけさ」

「人間、そう易々と変わるもんじゃないよ。但し」

「素敵な女性がいる場合は別って言うんだろ? ホントに昔から変わらんな。そういうところは」

「ま、これでもダンディー&セクシーを売りにしている私立探偵なんでな」

「良い年して何が、ダンディー&セクシーだ。聞いているこっちが恥ずかしくなる」

 金田一はそう言って、長四郎と会計カウンターへと向かう。

 だが、同じように会計に並んでいる客が数人いた。自分達の番がくるまで談笑している客達に長四郎はふっと目を向けると一人飛ばした先に見覚えのある人物が若いそれこそ高校生みたいな若い男と楽しそうに会話していた。長四郎は「すまん。金あるか?」と金田一に問うた。

「ああ、あるが。それがどうした?」

「すまんが」

「会計を済ましてくれ、後で料金を払うって言うんだろ?」

「その通り。後で払うから、じゃ」

 長四郎は金田一にそう告げ、先にダーツバーを出た。

 先に一階に降りた長四郎は会計を済ませた当該の人物である鈴木兼近が出てくるのを待った。五分後、鈴木は、連れの男と出てきた。

 店の前で、男と別れた鈴木は歌舞伎町ゲートの方へと向かった。長四郎も気づかれないよう尾行を開始した。

 そうして、新宿駅の方へ歩いてきた鈴木。尾行しながら、長四郎はこの鈴木がどういう人物なのか? 身なり、先程少しだけ見た所作から考えていた。 

 鈴木は改札口に通じる地下通路に入り、迷わず改札へと向かい都営大江戸線光が丘行きの列車の乗り込み、六本木で列車を降りた。

 ここまで鈴木に怪しい動きはなかった。霧子が何故、自分に鈴木兼近の身辺調査を依頼してきたのか。その理由は六本木を降りてすぐに分かった。

 鈴木は六本木駅地下通路にあるコインロッカーからカバンを取り出した。長四郎は通り過ぎるようにしながらその瞬間を撮影し、近くの出口から出たようなカモフラージュをし、カバンを持った鈴木が違う出口に向かっている事を確認してから再び尾行を再開した。

「今度は、指示をもらうってわけか」

 先程から何者かと通話しながら歩く鈴木を見て長四郎は呟いた。通話内容を聞きたいところではあるがそうすると尾行に気づかれてしまうので、長四郎はここはやり過ごすことにした。

 そうして、六本木ヒルズに通じる出口から出た鈴木はそのままヒルズのマンション出入り口に姿を消した。

「ここまでか・・・・・・」長四郎はそう言った後、「さて、そろそろ。出てきてくれないかな? 依頼人さん」振り向きながらそう言うと、柱に隠れていた霧子が姿を現した。

「気づいていたんですか?」

「気づきますよ。こっちは尾行を生業にしているものでね」

 長四郎が六本木駅を降りてすぐに自分を尾行する人物が居る事に気づいた。尾行者に気づかれないように写真をこっそりと撮影して尾行者の姿を拝むと山戸霧子その人であった。

「何か、分かりましたか?」

「いいえ、何も」と答え、長四郎は帰ろうとする。

「待ってください! ちゃんと調査しているんですよね?」霧子は引き留めるように長四郎の腕をガっと掴んで尋ねた。

「してますよ。調査結果は後日、報告致しますから。では」

 長四郎は霧子に頭を下げ帰路につきながら、霧子の写真を遊原巡査に送った。

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