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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-9

「おはようございまぁ~す」

 遊原巡査は桜田門駅で出会った長四郎と共に、自身の勤務先である命捜班のドアを開けると足を組んだ燐がドカッと椅子に座っていた。

「襲い!!」燐の第一声はそれであった。

「あ、すいません」遊原巡査は咄嗟に謝罪して自分が遅刻して来ていないことを思い出した。

「なんで、俺が謝る必要があるんだよ」

「私より遅れてきたから」燐はふんぞり返って、二人にそう告げる。

 そこで、燐と共に来ていた明野巡査が気づいた。長四郎の手にスタバの紙袋があることに。

「探偵さん。それって・・・・・・」明野巡査は紙袋を指さしながら長四郎に中身を尋ねる。

「ああ、これ? 珈琲とその他、何とかフラッペ的な奴。遊原君に聞いたら泉ちゃん、これが好きだって言うから」

 長四郎はそう言って、紙袋からダークモカフラペチーノの珈琲多めダークモカパウダー多めというトッピング追加の品を出しテーブルの上に置いた。

「ありがとうございます!」明野巡査は嬉しそうにそれを自分の手元に置く。

「礼を言うなら、遊原君に。俺は、教えてもらって買ってきただけだから」

「私のは?」

「え?」

「え? じゃなくて、私のは?」

 男二人、言葉に詰まっていると、「私、買って来る!!」明野巡査はそう言って部屋を飛び出した。

「あ~ 行っちゃったよ・・・・・・」

「あんたのせいでしょ?」

「そうやってすぐに人のせいにすな。良いから、泉ちゃん、追っかけなさい」

「チッ」二人に聞こえるように舌打ちをした燐は明野巡査の後を追うのだった。

 それからしばらくして、長四郎達の捜査会議は始まった。

「では、捜査会議を始めます」司会兼筆記を担当する燐がそう切り出した。

「最初に、泉ちゃん。新型覚醒剤の説明を」

「はい」

 もう聞いた話を再度聞かされる長四郎は興味なしといった感じで、スマホを操作し、遊原巡査もまた同様にノートパソコンでネットサーフィンをしていた。

「ねぇ、聞いてる?」

 明野巡査が話し終えたタイミングで燐が二人に問うと男二人声を揃えて「聞いてる。聞いてる」と答えた。

「じゃ、次は長四郎」

「急に下の名前で呼ぶな。こっぱずかしいだろ?」長四郎は照れた演技をしてから話し始めた。

「出回っている新型覚醒剤とやらの名前は「トォォルン」と言うらしい。そして、これはその取引現場を押さえた写真だ」

 長四郎はテーブルの真ん中に写真が映ったスマホを置き三人に見せた。

「これ、誰が撮ったの?」燐の疑問に若い刑事二人はナイス質問と心の中で送った。

「さぁ?」長四郎はそう言ってはぐらかす。

「答えなさいよ」

「続けるよ。そんで、これの驚く所は無償でその薬をばら撒いているって事だ」

「あの」明野巡査が挙手する。

「泉ちゃん。何?」

「探偵さんの話が本当だとすると、私が会議で聞いてきたお話と違うような気がするのですが?」

「ああ、安価でどうのこうのってやつか」

「はい」

「遊原君はどう思う?」長四郎は遊原巡査に話を振って見解を聞く。

「そうですね。泉の言う事も正しいと思います。だから、こういう事じゃないですかね。最初はタダで薬をばら撒き、次が欲しくなったら安価で販売する。どうでしょうか?」

「流石は、遊原君」長四郎は遊原巡査に拍手を送る。

「でも、タダでばら撒いたとしてあんな風に倒れられたら、警察だって動き出すでしょ? なんで、今まで動かない訳?」

「ラモちゃん。そこだよ。そこが今回の事件の根幹部分だと俺と佐藤田さんは考えている」

「成程。てか、佐藤田さんは?」

「あ、そう言えば」ここで佐藤田警部補が出席していなかった事に気づいた明野巡査は「祐希、何か聞いている?」と聞いた。

「いや、聞いてない」

「佐藤田さんは、一人で調べることがあるから俺を頼って捜査しろって言っていたから」

「二人共、騙されちゃいけないよ。こいつはそう言って二人を家来のように扱おうとしているから」と燐が忠告した。

「女子高生。そろそろ貴様を名誉毀損で訴えるぞ」

「やれるものなら、やってみなさいよ。腰抜け!!」

 長四郎と燐の間にバチバチと火花が散るのを、遊原巡査と明野巡査の二人には見えた。

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