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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾弐話-隠密
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隠密-3

「新型の覚醒剤?」

 警視庁命捜班・第二班班長の佐藤田 一喜(さとうだ かずき)警部補は部下の明野 泉(あきの いずみ)巡査の報告を耳かきしながら流し聞きする。

 明野巡査は警視庁本庁で行われた違法薬物対策会議に出席し、その議題に上がっていた内容を上司に報告していた。

「そうです。最近、若い子の間で出回っているらしくて。今、法整備を進めている所らしいです。にしても、お役所仕事は遅いですよ! 危ないって分かっていてもすぐにはそれを規制できないんですから!!」

「子供みたいなこと言うなよ」同僚の遊原 祐希(あそはら ゆうき)巡査が雑誌をめくりながら明野巡査に悪態をつく。

「子供みたいって言うけどさ、当たり前のことを言っているだけじゃん!」

「へいへい」

「祐希ぃ~」私の話を流すな! みたいな顔で真向かいで雑誌に目を通す同僚を睨みつける。

「明野。今日の会議には厚労省の麻取の人が来てたろ?」

「あ、はい。来てました」

「だったらさ、結構すぐに規制とか何とかができるんじゃない?」

「班長。今、こうしている間にも若い子が薬漬けになっているかもしれないんですよ! 私、黙って見ているって事ができなくて・・・・・・」

「明野の気持ちも分かるけど、俺たち警察は未然に防ぐっていうのは得意としていないからな。ま、規制がかかれば、麻取さん頑張るだろうし、うちの生活安全課も頑張るかもだしね。ま、どんと構えていなさいよ」

「班長ぉ~」

 すると、部屋のドアがノックされた。

「はぁ~い」佐藤田警部補は気のない返事し、若い刑事二人はガクッと姿勢を崩す。

「どうもぉ~」

 ドーナツが入った箱を手土産に長四郎が部屋に入ってきた。

「探偵さん!」明野巡査は嬉しそうに長四郎に声を掛ける振りをしながら、ドーナツの箱を受け取り「お茶淹れてきまぁ~す!」給湯室へとそのまま向かっていった。

「ちゃっかり、しちゃって。もぉ~」佐藤田警部補は目でごめんと長四郎に謝る。

「それで、ドーナツ持ってきたってことは、何か事件ですか?」遊原巡査が用件を聞いてきた。

「遊原君。察しが良いね。事件と言うほどまでの事じゃないんだけどね。少しお力を借りたいんだけど」

「ほぉ~」佐藤田警部補は覇気のない返事をしながら、長四郎の話を聞こうとする。

「一川さんには相談したんですか?」

「しに行ったのよ。そしたら、佐藤田さんの方がその手は強いっていうから」

「その手ですか?」

「そう、その手」

「お待たせしましたぁ~」

 明野巡査はドーナツに絢付けられなかった(あや)巡査長を連れて、人数分のお茶を載せたお盆を抱えながら戻ってきた。

「絢ちゃん。そこまでしてドーナツが食べたいのかねぇ~ 食意地はってんな」

 長四郎はやれやれといった顔をする。

 そして、四人は顔を突合せながらドーナツを頬張りながら、長四郎の話を聞く。

「探偵には守秘義務って物がありますので、そこをご了承して聞いてください」と前置き、「これ、知りません?」長四郎は霧子から預かった小袋を四人が使うテーブルの真ん中に置いた。

「どう見ても、麻薬じゃないですか!」明野巡査が最初に反応した。

「ところがどっこい。麻薬であって麻薬でないらしい」

「班長。これって・・・・・・」遊原巡査は察したのを分かってるよと手で制す佐藤田警部補。

「知っているんですか? 佐藤田さん」

「俺は知らない。明野、今日、会議で聞いてきた話をしてあげなさい」

「は、はい」

 明野巡査はそれより、これの出所を聞かなくて良いのか? そう思いながら会議で聞いた新型の覚醒剤について話した。

 巷で流行りつつ新型の覚醒剤は安価で売られ、その辺の高校生にすら出回っている代物で、吸引タイプで摂取しその吸った後の快楽はこれまでのものとは比べられない快楽が得られるが故に欠点も大きい。禁断症状の発症が摂取の三日で発症し、幻覚、妄想、異様な発汗etc.まぁ、色んな症状がでてくる恐ろしい薬なのだ。

「なるへそ。ありがとう」

 長四郎はそれだけ聞くと、席を立ち部屋を出て行こうとする。

「探偵さん。待って!」

 明野巡査に呼び止められる長四郎は振り返りざまに「何?」と聞く。

「この薬の出所はどこですか?」

「それ言っちゃうと、守秘義務違反になるから。じゃ」

 長四郎は警視庁を後にした。

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