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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
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誤報-16

 その可哀想な餌食になっている一川警部はというと・・・・・・

「ラモちゃん。休憩! 休憩しよ」息絶え絶えになりながら、燐に懇願する一川警部。

「一川さん、まだ動き始めて30分も経ってないじゃないですか!」

 燐の言葉に偽りはないが、休むこともなくテレビ局内を歩き回り年も年なので一川警部はスタミナ切れを起こしていた。

「そう言うけど、あたし、五十のおっさんばい。少しは気を使ってくれんと」

「はぁ~」燐は嫌味ったらしく溜息をつき「分かりました。一川さんは少し休んでいてください。一人で調べ回りますから」そう言い残し燐は一人で出雲伊緒を殺害した犯人であろう三澤翔太の行方を追うのだった。

「若いって、凶器ったい・・・・・・」

 一川警部は背筋を伸ばして、自販機のある休憩所へと向かって歩き出した。

「ったく、使えないおっさん」

 ぷんすかしながら、燐はテレビ局の廊下をズカズカと音を立てて歩く。

「うん?」

 そこで、一人挙動不審なサングラスにマスクをした作業服を着た男が燐の目の前を通り過ぎていった。それを見た瞬間、燐はパチンっと指を鳴らして「キタ! コレ!!」と言い放ちすぐに男の後を追いかけた。

 燐は男に気づかれぬように付かず離れずの絶妙な距離感を保ちながら尾行を続けていると、男がエレベーターに乗った。

 男が上昇階かそれとも下降階のボタンを押したのかを確認し、下降しているのを確認した後にすぐさま横にある階段を使い、男を追う。

 燐の予想だと行く先は、地下駐車場。

 普段の可愛らしい顔とは無縁なとんでもない形相の顔で階段を駆け下りていく。

 三分もかからずに目的の地下駐車場へと燐は辿り着いた。

「よしっ!!」

 先にエレベーターが着いていたとしても、車を発進させる前には間に合うはずの行動であった。階段横は都合よくエレベーターホールに繋がっているので、燐はすぐ様エレベーターを確認した。エレベーターは運良くこの階に辿り着いてはいなかった。途中で誰かが乗ってきたのだろう。

 燐は荒くなった息を整えながら、駐車場の柱に身を隠して男の到着を待つ。

「この隙に」長四郎に三澤翔太らし人物を見つけたというメッセージを送った。

 すると、すぐに着信で返事が来た。

「もしもし? 今、忙しいんだけど」

「忙しいじゃねぇよ。バカ、今、絢ちゃんと一川さんがそっちに向かっているかららしき人物が出てきても声かけるなよ」

「なんでよ?」

「自分で考えなさいよ。バカっ!」

「うるせぇ! あ、出てきた。じゃあな」

 燐はそう言って電話を切り、男の後を追いかける。

 乗ってきたであろう車の前に来た時、燐は声を掛けた。

「三ぃ澤ぁ~さん!」

 そう声を掛けると三澤らしき人物は、身体をビクッとさせて驚きゆっくりと燐の方を向く。

「な、何でしょうか?」声を震わせながら問いかけてくる三澤翔太らしき人物を見て、意外と小心者なのかもと燐は思った。

「三澤翔太さんですよね?」

「そ、そうですけど。貴方は?」

「そんな私を知らないなんていう演技いりませんから」

「演技なんてしてませんよ」

「嘘。貴方、出雲伊緒さんと共謀して人を殺したでしょ? そして、出雲伊緒さんまで殺した」

「私は誰一人として、殺していない! 本当だ!!」

「そう言う話は警察で話して」燐が三澤に歩み寄ろうとした時、三澤は折り畳み式ナイフをポケットから取り出し、燐が近づいて来れないように横に振って牽制した。

「そんな物騒な物を捨てて。大丈夫。悪いようにはしないから」

「し、信じられるか! 俺は伊緒を殺してなんかない!!」

「はいはい。さ、こっちへ」

 燐が近づいたその時、三澤はナイフを突き立て突進する。

 地下駐車場についた絢巡査長と一川警部が目にしたのは、燐が三澤に刺殺される瞬間であった。

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