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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
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誤報-15

「ありがとうございました」

 遊原巡査は絢巡査長の依頼に答える為に、番組制作会社を訪れ三澤翔太なる人物について聞き込み行い終えたところだった。

 制作会社の入っているビルを出た遊原巡査は溜息をつく。その理由は、大した成果がなかったからだ。

「あ~あ。怒られるだろうなぁ~」

 正月休みで人事を扱っている社員はお休みで、連絡を取ろうにも海外でバカンスを楽しんでいるらしく時差もあり返答に時間がかかるとのことで碌に取り合ってもくれなかった。

 気が重いなぁ~ そう思いながら連絡をする。

「はい。絢です」

「どうも、遊原です。すいません。時間食っちゃって」

「ううん。で、どうだったの?」

「それがですね。かくかくしかじかでして」

「そう。話を聞けなかったんだ」

「すいません」

「遊原君が謝ることじゃないよ。え? 電話を替われって?」

 電話の向こうに居る誰かに替わるように指示を受けているのが分かる。

「ああ、はいはい。ごめん。長さんが話したいって言うから」と絢巡査長が言ってすぐに「押忍っ! オラ、悟空」と吞気な声が聞こえた。

「探偵さん。どうも」

「今の会話に聞き耳を立ててたんだけどさ。もう一度、制作会社に行ってくれない?」

「え? なんで?」

「多分、履歴書の控えがあるはずだからさ」

「盗んで来いっていうんじゃないでしょうね?」

「そんな訳ないでしょ。写真をパシャッとね。パシャッと撮ってきて欲しいの」

 遊原巡査はここで対応した社員は無愛想だから、簡単にやらせてくれないだろうな。そう思いながら、ある手を考えていた。

「分かりました。それ撮ったらどうすれば良いですか?」

「そのままデータ送ってもらえば良いから宜しくね!」長四郎は出来るだけ可愛く言った。

「畏まりました」遊原巡査は通話を終了し、顔をパンパンっと叩いて気合いを入れ再度、ビルへ入っていった。

 エレベーターを使わずに、階段を上がり制作会社のあるフロアへと入る。

 遊原巡査は音を立てないように抜き足差し足で音を立てないように歩き、ゆっくりと出入り口を開けて中に入る。

 テレビを見てぼぉーっとしている社員に見つからないよう身を屈めて移動し、一番手前にあったデスクから捜索することにした。

「ああいった書類はこういうところに、あったりするんもんだ」

 小声でそう呟き、デスク横にある引き出しの一番下の三段目を開けた。

 そこにあるファイルを片っ端から中身を検める。

 が、そこに求める履歴書はなく、そっと元に戻して別の机に移動する。

 それからデスクを転々として、七つ目の机に求める物があった。

「よしっ、よしっ」

 遊原巡査は手早く写真に納め、物を片付けてそそくさと出ていった。

「はぁ~ ハラハラした」

 降りるエレベーターの中で安堵しながら、絢巡査長に先程撮影した写真を送信する。

「長さん。届きましたよ」

 モニター室で防犯カメラ映像をチェックする長四郎に絢巡査長が話しかける。

「え? あ、ホントに。見せて」

 絢巡査長は言われた通り、スマホを手渡した。

「へぇ~ 三澤翔太って、こんな顔なんだぁ~」

「私にも見せてくださいよ」絢巡査長も興味本位でその顔を拝む。

「なぁ~んだ。イケメンかと思った」

「酷い言いようだな。絢ちゃん」

「すいません」

「それはさておき、これだ。これ」

 長四郎は写真をスライドさせて、出雲伊緒の履歴書を見る。

「ふむぅ~」

「どうかしたんですか?」

「どうもしないよ。遊原君にありがとうと言っておいて。それと、三澤翔太の顔写真を一川さんに送ってあげて。名探偵の捜査に付き合わされている可哀想な一川さんに」

 長四郎はそう言って、防犯カメラ映像に視線を戻した。

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