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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
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誤報-9

「死体が詰め込まれたキャリーケースは小道具の廣宮さんが用意されたのでしょうか?」

 長四郎の問いに廣宮は首を横に振り、「用意したのは私ですが、きっかけは違います」と否定した。

「では、どの方が?」

「ええっと、アンケートを取りに行ったスタッフの子で名前までは・・・・・・」

 その場に居た全員が、そいつが犯人じゃないのかとそう思った。

「そうですか。番組スタッフ名簿みたいのってありますか?」

「台本に書いてあったかと」龍頭が答えた。

「ああ、そこにならスタッフの名前が書かれています」と鵜崎が言う。

「それは、プロデューサーの志村さんに頼めば貰えるのでしょうか?」

「それには及ばないと思います。この方に台本のコピーを」

 鵜崎が龍頭に指示を出して、台本のコピーを取らせに向かわせた。

「鵜崎さん、廣宮さん。玉原さんの炎上事件の際に番組制作を携わっていたんですか?」ここで、燐が質問した。

「炎上事件ですか? いつ頃の事でしょうか?」と困惑気味に鵜崎が質問で返した。

「いつの事?」燐が長四郎に聞くと「あ、待って調べるから」スマホを取り出して検索を始める長四郎。

「あの、昔の炎上事件が今回の事件と関係があるのですか?」廣宮は興味があるといった顔で聞いてきた。

「可能性あるってだけの事です。あのキャリーケースはどのような経緯で選ばれたとか分かります?」炎上事件の詳細が分かる記事を検索しながら、長四郎は質問をした。

「ええと、収録前に行ったアンケートで答えてもらった物を紹介する形となりました」

「聞き取りとか行いました?」

「そうですね。あのキャリケースは玉原さんの私物ですから。お借りしても良いかの確認もその時にさせて頂きました」

「それで、玉原さんはOKを出したんですか?」

「ええ、まぁ」それまで答えていた廣宮に変わって鵜崎が答えた。

「お待たせしました。台本のコピーです」

 会議室に戻ってきた龍頭が刷ってきた台本のコピーを長四郎に渡した。

「ありがとうございます。もう結構ですよ。ありがとうございました」

 長四郎は三人に礼を言って、退室してもらった。

 退室したのを確認してから、燐が口を開いた。

「やっぱり、ここに居ないスタッフが犯人なのかな?」

「どうだろうな?」長四郎は台本のスタッフ欄に目を通しながら返事をする。

「いや、犯人でしょ」

「ラモちゃん、そう決めつけるのはまだ早いよ。でも、私も一番容疑が濃い人間だと思うけど」絢巡査長はそう告げた。

「あたしも絢ちゃんの意見に同意するばい」

「一川さん。遊原君から連絡は?」

「ないよ。絶賛、調べてくれている最中やと思うけど。催促しようか?」

「いや、その必要はないですよ。多分、この人かな?」

 長四郎はジャケットの内ポケットからペンを取り出して、該当の名前に丸印をつけた。

三澤 翔太(みさわ しょうた)?」燐が名前を読み上げた。

「遊原君にもこの名前を教えてあげてください」

「はいよ」一川警部はそう返事し、会議室を出ようとするが「あ、待ってください。一川さん」と呼び止める。

「なんね?」

「この制作会社も調べてもらうようお願い出来ますか?」

 長四郎は番組制作会社の欄を一川警部に指して教えると「了解。伝えておくばい」そう告げ会議室を出た。

「長さん。三澤翔太って本名だと思いますか?」

「絢ちゃん。俺もそう思っていたところなんだよ。これ見て」

 先程、検索していた過去の炎上事件の記事を絢巡査長と燐に見せた。

出雲 園(いずも その)。この人が冤罪をかけられた人?」

「そう」

「しかも、女性だよね」

「うん」

「三澤翔太とは程遠い名前と性ですね」

「気になるよなぁ~ モヤモヤするねぇ~」長四郎は眉を潜めながら考え込む。

「ね、この制作会社の人、ここに居ないのかな?」

「ラモちゃん!」長四郎は急に椅子から立ち上がり、燐の肩をガッと掴み「メチャクチャ、良い事を言った! でかした!!」そう言って嬉しそうに会議室を出ていった。

「なんなの、あいつ」

「ラモちゃん。追うよ!!」

「御意!!!」

 燐と絢巡査長は大急ぎで長四郎の後を追いかけた。

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