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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
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誤報-7

「話を聞きたい?」

 そう長四郎に言ったのは、玉原南海がメインキャスターを務めるニュース番組のプロデューサー・伊香 馬一(いか ばいち)。二人は今、伊香に玉原の話を聞きたいという事でアナウンス部へと来ていた。

「はい。今回の事件を解決するためにご協力願えないですかね?」下手に出る長四郎。

「良いでしょう。それで、玉原さんが今回の事件の犯人なんですか?」

「いえいえ、その可能性は限りなく0です」と長四郎はそう言い切り、横で話を聞く燐はここまで言い切るのは珍しいことだ。そう思った。

「そうですか」

「質問しても?」

「あ、どうぞ」

「玉原さんは数々の賞を取っていますよね?」

「そうですけど。それが何か?」

「いや、その中でも何年前だったかな? ほら、あったじゃないですか? 事件とは無関係の人を容疑者扱いして追っかけ回したのにもかかわらず、なんかの賞を受賞してましたよね? 俺の記憶が正しければ激しく炎上してたはず。それで、付け回していた方への謝罪っていうのは行われたのでしょうか?」

 長四郎のその質問を受け、分かりやすいぐらいの嫌な顔をする伊香に長四郎は臆する事なく質問を続ける。

「いや、どうしてもそのことが気になって夜も眠れるかどうか」

「そのことが事件と関係あるんですか?」

「それは話を聞いてみない事には、答えられません」

「ねぇ、そこまでにしといたら? 聞かれて不味い話もあるでしょうし」と燐が進言する。

「そんな事はありませんよ」

 燐の発言を否定するように、伊香は声を引きつらせながら答える。

「では、お答え頂けますか?」

「謝罪はしておりません」

「そうですか。では、その方のその後は?」

「存じません」

「なんか都合のいい話だね」

「ラモちゃん」同じ事を心の中で呟いた長四郎は燐を窘める。

「ごめぇ~ん」手を合わして燐はその場限りの謝罪をする。

「ま、彼女の事はさておき。あの件の時の番組プロデューサーは伊香さんですか?」

「いえ、違います。でも、なんでそんな事を」

「お恥ずかしい話、過去に炎上した事件をKuun hubで見るのが大好きでして。つい最近、この件の動画を見た中で、伊香さんの名前は出てこなかったなと」

「そのはずですよ。僕はあの頃、チーフADでしたから」

「そうでしたか。これで最後の質問とさせて頂きます。その当時のプロデューサーさんは?」

 長四郎が最後の質問をすると伊香は答え難そうに口を開き「殺害されたプロデューサーです」と答えた。

「え? 過去の炎上事件が事件のきっかけと言うと?」

「しかし、炎上事件を起点とした復讐殺人であれば、スッキリとした動機になりません?」

 一川警部をこう説得する長四郎に「でも、急にどうして過去の炎上事件が出てきたんですか?」と絢巡査長が質問した。

「キャリーケースの中に押し込められていた被害者、そして、死体を見つけた当事者。そこに意味があるんじゃないかってずっと思っていた時に思い出したのよ。ああ、あのフリーアナウンサー昔、炎上してたなぁ~ って」

「ま、解決の糸口は見えてきたのは間違いないんだし。裏付け取らなくちゃだね」

「ラモちゃん。気合いれるのは構わないけど、俺はこれ以上関わらないからな。さっきからずっと我慢してたけど、もう吐きそうなの。俺」

「ああ、そう。じゃ、吐いてスッキリすれば?」

 燐はニコッと笑い、長四郎の鳩尾目掛けて拳を叩きつける。

「おっぶっ!!」

 込み上げる吐しゃ物を必死に堪えて、運よく近くにあった男子トイレへと駆け込んだ。

 数分の後、「あ、出てきた」という燐の言葉と共に悟り開いたかのような顔で出てきた長四郎。

「長さん、大丈夫ですか?」

「絢ちゃんか・・・・・・ うん、大丈夫だよぉ~」

「大丈夫じゃないように見えますけど?」

「もう帰った方が良かばい。長さん」

 一川警部の進言も手で制止し「大丈夫です。一川さん。さ、ラモちゃん行きますよ」三蔵法師みたいな口調となった長四郎は燐を引き連れてまた捜査を再開した。

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