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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
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誤報-6

 燐が見つけたそれは、所々血が付いた麻縄であった。

「これ、ただならぬ物だよね」

「ラモちゃん。心霊番組じゃないから」とツッコミをする長四郎。

「長さん、被害者は絞殺なんですか?」

「うん。言ってなかったっけ?」

「言ってません」と絢巡査長はすぐに返答した。

「やっぱり、ここで殺されたのかな?」

「どうだろうなぁ~」

「取り敢えず、ここに鑑識呼びますね。すいませんが、しばらくの間、ここの部屋を使用しないでください」

 倉庫の管理担当する社員にそう告げると、社員は不服申し立てをしようとするのだが絢巡査長はそれに答えることなく、鑑識の手配を始めた。

 警視庁本部に帰ると途中で呼び戻された鑑識官達は文句の一つも言わず、鑑識作業に取り掛かった。

「でかしたね。ラモちゃん」一川警部は燐を褒める。

「名探偵の私にかかればこんなもんです!」胸を張って答える燐。

「名探偵さん。ここは鑑識さんに任せて次、行くぞ」

「ちょっと、長さん。どこ行くとね?」

「気になることを調べに行くとです」

 長四郎は、一川警部の博多弁を真似しながら答える。

「気になることって何よ」燐がそう尋ねると「気になることは気になることだよ。名探偵の癖に鈍いねぇ~」長四郎が言うと同時にキックがお見舞いされる。

「痛てててて」

 腰を擦りながら腰を労わる長四郎とその前をズカズカと歩く燐。

 二人は今、テレビ局の広報部を訪れた。

 今回の事件で問い合わせがひっきりなしで来るようになったので、正月休みを返上して広報部に所属する社員は全員、会社へと招集されたのだ。

 鳴りやまぬ電話の対応に追われる社員にどう話を聞こうか。長四郎は広報部の社員を観察していると、燐が動き出した。

 燐は電話対応をせずに部屋の上座にどっしりと座る幹部社員の元へと行き、口を開いた。

「少しお話を聞かせてもらっても良いですか?」笑顔で燐は幹部社員に声を掛けた。

「君は?」

「女子高生探偵の羅猛燐です。生気を感じられない顔でこちらに近づいてくるあいつは、助手の熱海長四郎です」

「女子高生探偵? ふざけているのか?」

「ふざけてないですし、今回の事件を解決しようとしている立役者でぇ~す」

 自分で言うか? 普通。幹部社員並びに長四郎は同じことを思った。

「ま、警察ではない君達に答えることはない」

「ひっきりなしに掛かってくる電話の応対もしないで、椅子にふんぞり返っているんだったら話しても罰は当たらないと思いますけどね」

 長四郎は幹部社員の机に腰掛けながら、説得する。その場で電話応対をしている社員の視線が幹部社員に集まる。

「聞きたいことはなんだ?」視線に折れたのか、幹部社員は長四郎に用件を尋ねた。

「フリーアナウンサーの玉原さんはどんな人なんです?」

「面識はないが、良い人だと聞いている」

「良い人、良い人ねぇ~」長四郎は含みのある言い方をする。

「広報部さんって、番組の宣伝をする訳じゃないですか? 玉原さんと面識のある方とお話をしたんですが」

「無理だ。ご覧の通りだからな」

「では、質問を変えます。殺害されたプロデューサーはゴシップネタの渦中の人ですよね? 広報部さんとしては、抗議されたんですか?」

「してないな。そんな事しても意味はないからな」

「成程。被害者は局内から嫌われていたんですか?」

「そんな事はないな。スタッフからもタレントからも好かれていた名プロデューサーだったんでね」

「あんた、なんか隠しているでしょ?」燐が質問すると幹部社員は眉を上げ「そんな事はない!!」と声を荒げて答える。

「そんな事はないばっかだなぁ~」

 長四郎は参ったなみたいな顔をして、天井を見る。

「もう良いじゃん。別の人に話を聞きに行こうよ」

「そうだな」

 長四郎は燐の提案を受け入れて、広報部を後にしようとする。

「ああ、最後にこのまま事件を解決して御社に不都合な真実が公になっても知らないですからねぇ~」

「お、おい!」

 幹部社員の制止を聞かずに長四郎と燐は去っていった。

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