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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第参拾壱話-誤報
597/758

誤報-1

 新年あけましておめでとうございます。

 今年も「探偵は女子高生と共にやって来る。」を宜しくお願い致します。

                            By.作者

「なんで、新年早々、テレビ局に来ないと行けないんだよぉ~」

 私立探偵・熱海 長四郎(あたみ ちょうしろう)は元日から自称助手の羅猛 燐(らもう りん)に連れられお台場にある某テレビ局のスタジオへ来ていた。

 燐が元日の生放送番組の観覧に申し込みをし、厳選なる抽選の結果、見事当選。

 だが、ペアでの申し込みで燐は友達を誘ったがあっさりと断られ、暇を持て余していた長四郎を無理矢理連れ出して今に至るのだ。

「グチグチ言わない。ホントに女々しい奴ね」

「言うよ。今年こそは寝正月で大人しく過ごそうと思っていたのに」

 そう、長四郎は寝正月を過ごす予定であったので昨晩は深酒をしていた。だが、燐はそんなのお構いなしで早朝から長四郎の自宅兼事務所に突撃し、酒の抜けていない長四郎を無理矢理引っ張り出したのだ。だから、長四郎は二日酔いの状態でテレビの観覧をすることになり生放送の途中、嘔吐したら永遠に残るであろう放送事故として語り継がれることになるのでそんな危険をはらんだ中での観覧は不安で仕方なかった。

「あのすいません。エチケット袋ってありますか?」

 近くを通りかかった番組ADに長四郎が申し訳なさそうに話しかけた。

「エチケット袋ですか? いや、ないですけど。もし、具合が悪いようであれば医務室にご案内しますけど」

 放送前のクソ忙しい中、丁寧な対応をする番組ADに長四郎はああ、世の中は悪いことばっかりではないんだな。そう思っていると、「気にしないでください。仮病ですから」と燐は長四郎の耳を引っ張って観覧席へと連行し。

「あ~ 気持ち悪い」長四郎はこめかみをぐりぐりとしながら、吐き気を抑えようと四苦八苦する。

「あのさ、そこまで病人アピールしないとダメなの?」

「ホント、ジャイアンみたいな子だよな。ラモちゃんは」

「しずかちゃんでしょ」

「分かったよ。ジャイ子」

「誰がジャイ子だ!」

 燐はそう言って長四郎の背中をバンッと叩く。

「オヴェ!!」長四郎の強烈な嗚咽がスタジオに響き渡った。

 それから、なんとか自身の二日酔いとの向き合い方を理解し始めた長四郎は観覧客として生放送に参加できる事となった。

 番組はお笑い芸人のネタ見せ番組兼タレントトークの生放送番組であった。

 最初の二時間は、お笑い芸人の漫才やコントを見て少し長いCMの後にタレントトークの時間となった。

 今回のトークコーナーの出演者は、今期のドラマに出演する女優、朝のニュース番組を担当するフリーアナウンサーであった。

 最初に女優のトークから始まりフリーアナウンサーの順で番組は進行していき私物紹介のコーナーへと移った。

「では、最初に玉原さんの私物紹介です!!」

 司会の芸人がそう言うと観覧席から拍手が上がる。

 番組スタッフがキャリーケースをスタジオのステージへと運んできた。

 それを見た長四郎は少し違和感を覚えた。

 だが、そんな違和感とは裏腹に番組は進行していく。

「玉原さん。キャリーケースの紹介なんですね?」

「ええ、取材で海外へ行く事もありますからね。このキャリーケースの良いところはこの外観だけじゃなくて」

 フリーアナウンサー玉原 南海(たまはら みなみ)はそう説明しながら、キャリーケースのジッパーを広げていく。その中で、少し引っかかりを感じたものの何事もなかったかのように平然とした顔でジッパーを最後まで開き、キャリーケースを観音開きのようにしてカメラに見せる形で開けた。

 その瞬間、キャリーケースに押し込まれた人がゴロンとステージの床に倒れ、客席から悲鳴が上がり放送もテロップ表示へと差替えられた。

「行くよ!!」

 スタジオから出ようとする客とは別に燐は長四郎の腕を引っ張りながらステージの方へと向かった。

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