Ep.4~眠る埋蔵金を探せ~
「何、やっとんの。君は・・・・・・」
命捜班・第二班の班長、佐藤田警部補は呆れた口調で目の前に座る燐に告げた。
警官に補導された後、燐が少年課の刑事に命捜班に知り合いがいると宣い、駄々をこねまくった結果、困った少年課の刑事は命捜班の刑事達にその処遇を任せることにしたのだ。
「埋蔵金探しです!」燐は鼻をふんふんっと膨らませ、ドヤ顔で返答する。
「埋蔵金探しねぇ~ 良い若い高校生が埋蔵金探し。ふ~ん」
冷めた目で並んで座る燐、リリ、徳田を見つめる佐藤田警部補。
「刑事さん。馬鹿な話と思うかもしれないですけど、本当なんです!!」
リリは目を輝かせて感情の薄い佐藤田警部補に訴えかける
「でも、皇居に徳川の埋蔵金があるって考えるのは普通の事なんじゃない? 元々は江戸城だったわけだし。それにねぇ~ あそこはお巡りさんが警備しているからあんな事していると今回みたいに補導されることになるよ」
佐藤田警部補の忠告に高校生三人は耳を傾ける事なく、地図アプリを見ながら埋蔵金の在りかについて会議していた。
「ちょっと! あなた達!!」
佐藤田警部補の話に耳を貸さない事に業を煮やした明野巡査が三人をしかりつける。
「泉ちゃん。一人、三億だよ。一人、三億」と燐が言い「泉ちゃん。一人、三億だよ。手伝ってくれたら分け前あげるよ」とリリが言う。
女子高生二人の連携プレーで、明野巡査をこちら側に引きこもうとする。
「さ、三億・・・・・・」
明野巡査はその瞬間、頭の中で三億が手元にあるイメージを思い浮かべる。
「そう。三億」燐が追い打ちをかけ明野巡査の心が動き始めると「馬鹿。何、取りこまれようとしているんだよ」同僚の遊原巡査が留まるよう制した。
「ごめん」明野巡査は面目ないといった感じで謝罪する。
「お前らなぁ~ 埋蔵金なんてあるわけないだろ? 仮にあったとしても、国に没収されるし、埋蔵金の発見者としてマスコミの恰好の餌食だぞ」遊原巡査が見つけた際に起こりうる現実を教える。
「没収だって」リリが徳田に言うと「黙っていれば問題ないんじゃないですか」と平然とした顔で答える。
「あのなぁ~」遊原巡査はめげない諦めない高校生達に呆れかえり何も言えなくなる。
「ま、なんにせよ。埋蔵金探しは諦めてね」
佐藤田警部補は三人にそれだけを告げて、解放した。