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将軍-11

 警視庁の大会議室に全捜査員が集められ、捜査の見直しを図る為の捜査会議をしていた。

「それで、被害者の共通点は?」

 現場を取り仕切る管理官が捜査員達に質問をした。

「はいっ」一人の若い刑事が挙手したので、目で話すように合図した。

「被害者達に共通点はありません。ですが、様々な場所での犯行からして犯人は複数犯の可能性があると、プロファイラーは言っています」

「複数犯か。現場に残された筆記の方は?」光浦が質問すると別の刑事が挙手し発言を許可された。

「いずれの現場に残されたメッセージの筆跡ですが、同一人物のものであるという結果が出ています」

「プロファイラーの意見と違うじゃないか!」

 管理官が先程、報告した刑事を怒鳴りつける。

「待ってください。メッセージを書くのは同じ人物ということは考えられないでしょうか?」隣に座る管理官に自身の推理を披露する。

「その可能性は大いにありますな」

 若きエリート官僚をヨイショする。

「他に手掛かりになりそうな物は見つかりましたか?」

 光浦が捜査員達にそう尋ねると、捜査員達はそんなものはないといった顔をする。

「チッ」捜査員達に聞こえるほど大きな舌打ちをし、「例の探偵の方はどうなっていますか?」質問すると「命捜班!」管理官が怒鳴り上げて捜査会議に参加している絢巡査長を呼ぶ。

 だが、返事が帰ってくることはなく捜査員達はざわざわとざわつき始める。

「居ないのか!」管理官が呼びかけると「どうやら、その様です」と近くに座っていた刑事が小声で伝えた。

「仕方ありません。所詮は窓際部署のやることですから」

 光浦は困ったものだといった顔をして、捜査資料に目を落とした。

「良いの? 捜査会議に出なくて」

 長四郎は共に行動している絢巡査長に話しかける。

「良いんですよ。それよりあの会社、医療器具の販売を歌っていますがその裏ではかなりいかがわしい商売をしているようなんです」

 絢巡査長は説明しながら、更利満の勤務先を監視する。

 今、長四郎と絢巡査長は二人、覆面パトカーに乗って張り込みを行っていた。

「どんないかがわしい商売をしているの?」

「それは佐藤田さんに調べてもらっています。因みに、この情報も」

「佐藤田さんって言うんでしょ」

「はい、そうです。それで、近所の事件は何か分かったんですか?」

「うん。そこの美容室の顧客の中に更利満の名前があった」

「ここでも更利満ですか」

「そう。更利満。なんかきな臭い男なんだよな」

 長四郎は美容室から勝手に持ち帰ってきたカルテを絢巡査長に見せた。

「これ、美容室のカルテですね」

「あ、分かるんだ」

「はい。私、美容室で見せてもらうんです。その都度、髪がどのくらい傷んでいたとか」

「へぇ~ 見せてくれるんだ」

「店にもよるとは思いますけど」

「そうだよね。そうだよね」長四郎はうんうんと頷いて見せながら、絢巡査長の手の中にあるカルテを取り上げて中身を再度、読み始める。

「現場でも読んでいたんですよね? 何度も見て何かあるんですか?」

「あるようで、ないようで。困ったものだよ」

 長四郎はカルテを見ながら、フフッと笑う。

「ゲネラールの正体って、誰なんでしょうね」

「さぁ? 皆目見当もつかないね」

「とか言って、見当ついてるんでしょ?」

「そ、そんなことないよぉ~」

「嘘だ。じゃなきゃ、一川さんに更利満の遺体の再調査を依頼したの知っているんですからね」

「え~ 知っていたの」

 そんな長四郎の依頼を受けた一川警部は、更利満の遺体が安置されている関東監察医務院に来ていた。

「げぇ~」

 解剖室からハンカチで口を抑えた明野巡査と燐がトイレに駆け込んでいく。

 新人の明野巡査は凄惨過ぎる遺体に耐えられなくなり、死体を見ても平気な燐も今度の遺体は吐き気を催すほどのものであった。

「酷いですね」遊原巡査は遺体を見ながら、一川警部に話しかける。

「うん。被害者の顔もここまで潰されとったら、歯の治療痕からじゃ被害者の照会は出来んよね?」

「そうですね。指紋も焼かれていますし」

「君らのドッグタグだけで、こん人が更利満やと特定したわけやけど」

「DNA鑑定はしていないと」

 遊原巡査の問いかけにコクリと頷く一川警部。

「もしかしたら、更利満は生きている?」

「ま、これが更利の部屋から押収した髪の毛やけん。鑑定してもらわんとね」

 一川警部は更利の髪の毛が入ったポチ袋を見つめるのだった。

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