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将軍-4

 燐達は事件現場から持ち帰ってきたドッグタグの身元の照会をしていた。

「ヒットしないなぁ~」遊原巡査は頭を掻きむしって、お手上げのポーズを取る。

「MITSURU SARARIって、珍しい名前だからヒットすると思うんだけどなぁ~」

 燐はポチ袋に入ったドッグタグを見ながら、困り顔をする。

「でも、普通見つかるよね? なんで?」

 明野巡査はそう言いながら、遊原巡査が見ている免許証の照会データベースの画面を見ると“該当のデータはありません”という文字が映っていた。

「もしかして、どっかの国の秘密工作員だったりして」

「ラモちゃん。突拍子もないこと言わないでよ」

「本当だよ。ドラマじゃないんだから。なぁ?」

 遊原巡査と明野巡査は声高らかに笑う。

「意外とそうでもないかもだよぉ~」

 そう言いながら、彼らの上司、佐藤田 一喜警部補が部屋に入ってきた。

「班長、盗聴でもしているんですか?」

「どうかなぁ~」佐藤田警部補は本気なのか。はたまたウソなのか。どっちともとれるような笑みを浮かべる。

「そんなことはどうでも良いの。それより、秘密工作員の話でしょ? で、本当に秘密工作員だったんですか?」

 燐の質問に佐藤田警部補は手の中にある一枚の紙を渡した。

 三人はすぐにその紙を見る。

更利 満(さらり みつる)。陸上自衛隊 第七師団 ヒースロー中隊所属。年齢35歳」

 明野巡査がそこに書かれている事を読み上げた。

「これが今回の被害者だって言うんですか?」

「それをこれから調べてもらうのさ。一応、捜査本部にはこの事は教えてある」

 佐藤田警部補はそう言いペン立てから耳かきを取って、耳掃除を始めた。

「班長。あの本部長に嫌味言われませんでした?」明野巡査は勝手に事件現場に入って見つけてきた証拠品で光浦から文句を言われたのではないかと心配していた。

「言われたよ」

「ああ、やっぱり」やっちゃったなみたいな顔をする明野巡査。

「気にしなくて良いよ。お前さん達はやる事をやったんだからさ」

 佐藤田警部補は出てきた耳垢を見てうわぁ~ 出たぁ~ みたいな表情をする。

「話を折るようで悪いんだけど。一番気になる事が」燐は挙手して質問したいと願い出る。

「何?」明野巡査が許可する。

「佐藤田さんはどこで、この情報を」

「そういえば」遊原巡査はハッとした顔をして佐藤田警部補を見る。

「情報ソースってのは、秘匿なの。探偵さんの助手しているのに知らないの?」

 佐藤田警部補の余計な一言にカチンときた燐が遊原巡査の机に置いてあるペンケースを投げつけようとするのを明野巡査が済んでの所で止めた。

「それより助手の子、探偵さんの事は心配しないの?」

「あいつねぇ~ 今頃、何してるんだろ?」

 燐は首を傾げながら、長四郎の事をちょっぴり考えるのだった。

 そんな長四郎はというと・・・・・・

「お前がやったんだろ!」

 血の気の多い若い刑事が長四郎を怒鳴りつける。

「やってねぇって」

「ウソこいてんじゃねぇぞ」別の刑事がそう告げた。

「ウソなんてついてねぇよ」

「じゃあ、アリバイが証明できるだろうが!!」

「事件があった晩ってのは、俺は事務所に居たの。そりゃあ、一人で居たから証言なんて取れないし。渋谷なんていかねぇ~よ?」

 すると、血相をかいた刑事が取り調べ室に入ってきた。

「どうした?」

「実は、ちょっと・・・・・・」

 その刑事はバツが悪そうな顔をして、長四郎をチラチラと見るので監視役の刑事を一人残し入ってきた刑事を連れて取り調べ室を出ていき、数分も経たないうちに喚いていた刑事が戻ってきた。

「帰っていいぞ」その言葉には悔しさみたいのがにじみ出ていた。

「じゃ、お言葉に甘えて」

 長四郎は椅子から立ち上がると、机をガンッと蹴り取り調べ室を出ていった。

「良いんですか?」

「仕方ない。こうしている間に、事件が起きたんだ」

 長四郎が取り調べを受けている最中、第二の事件が発生した。

 そして、今度の事件現場にもゲネラールからの挑戦状が残されていた。

“俺の目的が分かったかな? 優秀な探偵の返事を待つ。”と。

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