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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾玖話-行方
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行方-16

「本当にここで良いんですか?」

 自販機で身を隠している明野巡査は、池袋西口公園の広場で目的の人物が姿を現すのを待つ長四郎にインカムを使い質問する。

「相手が指定した場所はここだからな」

 長四郎はあの後、すぐに佐藤田警部補に連絡し二人の部下をすぐに派遣してもらったのだ。

「探偵さん。危ないと思ったらすぐに逃げ出してくださいね」

 パトカーの中で待機している遊原巡査が、長四郎にそう告げる。

「心配してくれてありがとう」長四郎がそう言い終えると「仕事を探しているのは、あんたか?」と背後から声を掛けられた。

「そうですけど」長四郎は振り向きながら答えた。

 話しかけてきた人物は身なりこそは綺麗だが、身体の一部からそれまでの生活が伺えるような姿をした男であった。

「ふ~ん」男は頭のてっぺんから足の先まで長四郎の身体を流し目で確認する。

「病歴は?」

「ありませんけど」

「じゃあ、良し。あんた、仕事無くしたばっかりか?」

「ま、そんなところですけど。何故?」

「あんたからは、俺達とは違った臭いがしただけだ。付いてこい」

「はい」長四郎は素直に従い、男に付いて行きながら自身を監視している明野巡査に見えるように手を挙げハンドサインを送る。

 それを見た明野巡査は「祐希。行動開始」とパトカーで待機する同僚に伝えると尾行を開始した。

 男に連れられた長四郎は公園を出てデパートの駐車場へと移動しそこで車に載せられた。

「これを」男はアイマスクを長四郎に渡して安定の目隠しをするように言われ、素直に従う。

 アイマスクを付けてすぐに車は走り始めた。

「仕事って楽ですか?」長四郎は駐車場を出てすぐに男に話しかけた。

「楽だな。何だったら、気持ちいい事もできるし」

「気持ちいい事?」

「若いのに察しが悪いな」

「これ、何の話しているの?」

 長四郎を追いかけるパトカーの中でスピーカーから聞こえた二人の会話内容の意味が分からない明野巡査はパトカーを運転する遊原巡査に聞く。

「それは。いや、言わない」言いかけたが考えただけで嫌悪する内容だから遊原巡査は口を噤んだ。

「ねぇ、教えてよ」

「セクハラで訴えられたくないから」と適当な事を言って誤魔化す遊原巡査。

「それで、報酬は幾らなんですか?」長四郎の質問が再開されたので、二人は話を止めて聞き耳を立てる。

「人それぞれだな。働き次第で変わる。というか、質問の多い奴だな」

「ハローワークじゃ教えてくれなかったので」

「そんなものだよ。正直言って、この仕事は表立って言えるような仕事じゃないしな」

「そうなんですか」

 そこで会話を切った長四郎は、少し眠る事にした。

「表立って言えないって事は、犯罪してるってことだよね?」

「そうだな」

 遊原巡査は素っ気ない返事をする傍ら尾行に気づかれないように、着かず離れずの上手い距離を保ちパトカーを走らせる。

 高速に乗るなどして三十分程走って品川ふ頭で車は停車した。

「着いたぞ」男は長四郎は揺り起こすと「あっ! え?」と寝起き仕立ての反応をする。

「これ、取っても?」

「いや、まだだ」

 アイマスクを取る事は許されず、長四郎は男に手を惹かれながらふ頭を歩かされる。

 周囲の音と臭いから今、自分がどこに居るか。長四郎は大方の察しは付いていた。

「外して良いぞ」男からそう言われてアイマスクを外す。

 長四郎は周囲をきょろきょろと見回す。

「見たってここがどこか分かりやしねぇよ。さ、中に入るんだ」

 男はコンテナの扉を開けて、長四郎を中に招き入れる。

「すげぇ~」

 長四郎が感心するのは当然の事であった。

 コンテナの中はお洒落な居住空間となっていたのだ。

「お前には、ここで暫く暮らしてもらう」

「ここで?」

「そうだ。時機に品物が届く。ドアを二回。二回だ。二回ノックされたら品物が届いた合図だ。良いな」

「分かりました。で、品物の監視が僕の仕事って事でしょうか?」

「呑み込みが早いな。その通りだ」

「じゃ、品物が来るまでここで優雅に過ごします」

 長四郎はそう言って、設置されたソファーにドッカっと腰を下ろした。

「詳しい説明は品物が届いた時にあるから。じゃ、俺は行くから」

「あざっしたぁ~」

 男がコンテナから出ていったのを確認すると、長四郎はインカムで命捜班の二人に話しかける。

「聞こえてた?」

「聞こえてました」明野巡査が答えた。

「応援要請してもらって。動くのは品物が届いてからにしよう」

「了解」遊原巡査は返事をし終えると同時に上司の佐藤田警部補に応援要請を依頼するのだった。

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