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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾玖話-行方
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行方-12

「班長。最初から知っていて、俺たちに捜査していたでしょ?」

 遊原巡査が不服そうな顔で佐藤田警部補を見る。

 佐藤田警部補は遊原巡査から視線を逸らす。

「で、女って分かったのはいつなんです?」長四郎が質問した。

「え~っと、松重さんに頼みに行く前だから。丁度、捜査し始めた頃かな。でも、自力でイヴ・ウィンガードを見つけるとは思わなかったよ。流石は、名の通った名探偵」

「見つけたのは、私ですよ。班長」ご立腹な明野巡査。

「私。じゃなくて、私達だろ?」

「ごめん、ごめん」

「気になるのは、公安外事課が動いている所ですよね」絢巡査長が話の軌道修正を図る。

「というより、FBIは犯人の特定までしているのに動かないっていうのが俺は気になってしょうがないんだけど」

「特定って言っても、名前と性別が男だっていう所までしか分かっていないって公安外事課さんは言ってたな」佐藤田警部補はつまらなさそうに言いながら、机の上でペンをコロコロと転がす。

「でも、その正体は女かもしれないか・・・・・・」

 長四郎は口を窄めて、回転椅子をクルクル回しながら考えを張り巡らす。

「取り敢えず、イヴ・ウィンガードを任意で引っ張るってのはどうでしょうか?」

 遊原巡査が提案すると「ダメだ」と長四郎がすぐに却下した。

「何でです? 早くラモちゃんを助け出さないと!」

 明野巡査が長四郎に食って掛かる。

「だからさ。このまましょっ引いてもこっちは証拠の一つもないし。もしかしたら、イヴ・ウィンガードの名前を語る別人の犯行だって事も」

「そんなの詭弁じゃないですか! 今頃、ラモちゃんがどんな酷い目に遭っているか。想像つかないんですか!?」

 明野巡査が必死になって長四郎を説き伏せようとしている頃、当の本人の燐はというと。

 脱出を何度も試みてはみたが、どれも上手くいかず一度冷静になる為、冷蔵庫に入っていた材料を用いて鼻歌を歌いながら料理を作っていた。

 では、命捜班の話に戻そう。

「泉ちゃんが凄くラモちゃんの心配をしてくれるのは分かったけど。けどね、ここで熱くなってなりふり構わず動くとラモちゃんが殺されるかもしれない。もしかしたら、殺されているかも」

「そんな!!」

「かも。かもだから。どうも、試されている気しかしないんだよ」

「試されているって、どういう事ですか?」絢巡査長が小さく挙手して質問した。

「なんて言うか、FBIは名前までは特定しても顔は不明。性別は男という見解を出している。そんな厄介な相手が初めて日本の警察から声を掛けられた。だから、ヒントを出したんじゃないかな。奴の考えでは、FBIの捜査情報を取り寄せれば性別は男だと思い込む。それを逆手にとって、同姓同名の人物が目撃証言を語ることによって自身を捜査の目から遠ざけるなんて。どう思いますか? 佐藤田さん」

「う~ん。良い線ついているんじゃない? それよりも、俺はなんで男の犯行だとFBIは決めつけたのか? それが知りたいんだよねぇ~」

「じゃあ、そっちの捜査は佐藤田さんに任せます」

「え?」お前が仕切るのって顔で長四郎を見る佐藤田警部補。

「俺達は、イヴ・ウィンガードを追いますから。やる気に満ち満ちている泉ちゃんには重大な任務があるから」

「重大な任務ですか?」

「そう」長四郎はいやらしい笑みを浮かべるのだった。


「これが重要な任務・・・・・・」

 明野巡査は長四郎から調べるように言われた銀座にあるテーラーの地図を見ながらガクッと肩を落とす。

「泉。落ち込むなよ」そう言って励ます遊原巡査は印刷した紙にチェックを入れる。

 長四郎の依頼は、スーツを仕立てるテーラーにイヴ・ウィンガードが訪れていないかを調べて欲しいというものだった。

「でもさ、こんなことしてラモちゃんが見つかるのかな?」

「どうだろうな。次の店は、そこの路地を曲がった所だな」

 遊原巡査はチェックリストをジャケットの内ポケットにしまうと、店へ向けて歩き始める。

 だが、二人はまだ知らなかった次の店が事件解決の大きな糸口になると・・・・・・

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