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探偵は女子高生と共にやって来る。(感謝150,000PV達成)  作者: 飛鳥 進
第弐拾捌話-御祭
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御祭-15

「泉ちゃん。凄いな」

 燐は浜屋をしっ責し手に入れた防犯カメラ映像のデータが入ったUSBメモリを手の中で転がしながら、明野巡査を褒める。

「いや、大した事はしてないよ。でも、ラモちゃんはいつもあんな事を言われてるの?」

「まぁねぇ~」髪をひらりと舞い上がらせながら、答える燐の表情は少し辛そうに見えた。

 そんな事をしていると、保護者会が終わったらしく保護者が体育館からぞろぞろと出てきた。

「あ、終わったみたい」

 そう言いながら、長四郎を探す燐、明野巡査の両名。だが、長四郎は姿を現さなかった。

 二人は体育館に居残っているのか。それを確認するために体育館へと入るがそこにも長四郎の姿はなかった。そこに居たのは、片づけをしている成美と他の教職員だけであった。

「生美ちゃん! 探偵、見なかった?」

 声を掛けると成美は作業の手を止め、周囲をきょろきょろと見回す。

「成美ちゃん。こっち、こっち」

 燐は手を振って見せて自身をアピールする。

「ああ、そこか。ごめん。ごめん」

 成美は燐に駆け寄りながら、謝罪した。

「で、何だっけ?」

「探偵、見なかった?」

「探偵さん。いいや、見てないけど」

「そう」と言いながら、燐は聞く相手を間違えたかと思う。

「ちょっと、良いかな?」

「え、何々?」

 成美は燐を連れて、体育館の出入口へと移動する。

「どうしたの?」

「いや、実はさ。ごめん。ちょっと愚痴っても良い?」

「それは、良いけど」

「保護者会の時にね。モンペみたいな保護者に出くわしちゃってさ」

「モンペ? モンスターペアレントが居たの?」

「うん」と言って成美はコクリと頷き、それを見て燐は可愛いと思う。

「で、そのモンペが生美ちゃんに絡んできたの?」

「絡んできたっていうかと言うと違うんだけどさ、あたしら教師を目の敵にしているっていう感じでさ。司会の先生の注意なんか丸無視。他の保護者も賛同する始末であさ」

「最悪だね」

「うん。なんか、ああいう保護者ばかりだと教師辞めたくなっちゃったよ」

「ダメだよ。生美ちゃん、人気者だから。あのさ、その生徒の親の名前って分かる?」

「何だったけなぁ~ 聞いた事ある名前だったんだけど」

「どんなクレーム入れてたの?」

「えっとねぇ~ 生徒の心のケアからスタートしてね。自分家の子どもの所に刑事が来ただの。生徒を犯人だと思っているのかだの。あたしらが生徒を疑うだなんていうけどさ、犯人が生徒だったらどうするんだよっていう話じゃん。絶対に生徒間でも犯人捜し始まってると思うし」

「大変だったね」

 燐はこれ以上の話を先延ばしにするのは時間の無駄であると判断し、この一言で成美の労を労うのだった。

「ありがとう」

「良いの。気にしないで。こちらこそ、ありがとう」

 成美に礼を言って、体育館を出た。

「ごめぇ~ん。待った?」

 先に出ていた明野巡査に謝罪すると「ううん、大丈夫だけど、そっちは?」と燐の方を心配する。明野巡査は先程見せられた浜屋とのやり取りが行われていたのではないかと少し心配していた。

「先生の愚痴聞かされただけ。でも、面白い話聞けちゃった」

「面白い話?」

「そう。あたしらの行動が学校に筒抜けになっていたよ」

「どういう事?」

「国巳が親にチクったみたい。それがきっかけでギャーギャー喚いていたんだって。国巳の親が」

「へぇ~ じゃあ、気軽に彼に近づくのは辞めた方が良いね」

「泉ちゃん。分かっているぅ~」

 燐と明野巡査はハイタッチする。

 そんな頃、長四郎はというと。

 女性陣二人に気づかれぬように保護者会を抜け出し、保護者会で喚いていた保護者の尾行をしていた。

 長四郎も燐と同じく例の刑事が聞き込みに来たというワードが気になり、近くの保護者に声を掛けこの保護者の情報を聞き出そうとしたが大した話は得られなかった。

 食い下がって、聞き出そうと試みても良かったのだが追い出されるのは、ごめんなのでそのまましおらしくしていたのだ。

 保護者は、学校を出てコンビニに立ち寄り、タクシーを止めどこかへと向かっていった。

 長四郎も後を追おうとしたが、運悪く近くにタクシーが通りがかることはなかった。

 ヤキモキしている長四郎の近くに一台のパトカーが停車し、パワーウィンドウを降ろしながら、「よぉ、探偵さん」と佐藤田警部補が声を掛けてきた。

「ナイス! タイミング!!」

 すぐに長四郎はパトカーへ乗り込むのだった。

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